誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

日産自動車・ルノーの行方!

大阪地域の地震で被災されました多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。
皆さん、おはようございます!
一昨日は群馬県で震度5の地震があったばかりですが、日本は本当に地震の多い島国だと思います。大自然を前にして、人間とは所詮小さな存在だと感じます。



日産自動車と仏ルノーによる資本提携の見直しに向けた協議が本格始動するようです。
仏ルノーの定時株主総会でカルロス・ゴーン会長兼最高経営責任者(=CEO)が、2022年迄の任期が終わるまでに、企業連合の持続性に疑問が出ない様にすることを明言しています。


対する日産自動車は、仏政府が主導する資本関係の見直しに警戒感を強めているそうです。仏政府は、仏ルノーに15%を出資しており、日産自動車との完全経営統合に意欲的だとみられているからです。日産自動車は三菱自動車に34%の出資をしていますので、仏ルノー、日産自動車、三菱自動車の企業連合ということが出来ます。


この三社の企業連合は、先日、燃料電池をエネルギーとするクルマの開発を申し合わせにより凍結することとしています。世界の自動車産業の潮流が、電気自動車に収斂していく中で、燃料電池車の価格競争面等において、このまま開発を続けることは得策ではないという判断を下したそうです。


いまや自動車産業といえば「CASE」という言葉が将来の進むべき方向を指し示しています。つながるクルマ(=コネクテットカー)、自動運転車、シェアリングカー、電気自動車です。しかも、これからの時代はクルマを販売するのではなく、利用することにより付帯して生まれて来る様々なサービスを提供するビジネスへの転換を迫られます。


その様な中で、仏ルノー、日産自動車、三菱自動車は、連携関係を活かして、部品の共通化や技術連携するなど、従来の「規模の経済」を追求する形で、各社ともに効率性を高めています。その意味では、これら企業連合各社の相互補完効果を上手く引き出した良い事業連携であると言うことが出来ると思います。


それは従来のクルマを販売する会社としての成功です。日産自動車なども、トヨタ自動車と比べますと、進取性に富んだ技術力を売り物にする企業というイメージが昔からあります。その意味では、電気自動車や自動運転車といった、先端技術を活用するクルマづくりにおいて長じるものがあると思います。


しかし、クルマを利用する時代の「範囲の経済」の追求という視点で見た時に、この企業連合の取り組みはどの様なものでしょう。トヨタ自動車では、新たに東南アジアのライドシェア大手グラブ社に10億ドルの出資を決め、これで世界各国のライドシェア大手との連携関係を築き、各社が持つデータを活用した金融他サービス開発に着手しています。


スウェーデンの自動車メーカーボルボ・カーでは、2020年年代の半ばに同社がつくる半数を毎月定額を払えばクルマや関連サービスを利用できるサブスプリクション型のサービス提供に切り替える旨の発表をしています。スマホで1度だけ使えるスマートキーを活用したクルマへの宅配、洗車・給油代行サービスなどです。


米ゼネラル・モーターズにおいても、脱自動車メーカーの動きを速めており、自らが築いた旧来のものづくり型ビジネスモデルを脱し、無人タクシーなど次世代交通サービスを柱とする新たな自動車メーカー像に復権を賭けていると言えます。特に自動運転車におけるソフトバンクや米リフト社他との異業種間連携を強めています。


この様な潮流があるなかで、仏ルノー、日産自動車、三菱自動車連合は、未だ従来型の規模と技術力を追いかけている様に見受けます。それが、今般の企業連合の強化というカルロス・ゴーン氏の発言に見て取ることが出来ます。もっとも、自動車メーカーが範囲の経済を目指し始めたとはいえ、クルマづくりを止める訳ではありません。


ただし、これからのクルマづくりで不可欠なのが、クルマ自体を端末と見立てた情報武装化です。つながるクルマ、自動運転車、カーシェアリングの分野で後塵を拝している様に見える三社連合ですが、いまは経営組織としての規模を拡大するよりも、異業種企業との連携を迅速に進めて行った方が得策の様に見えます。


仮に、仏ルノーと日産自動車が完全に経営統合すると、文化を超えた巨大組織の意思決定に時間を要する結果となってしまいますので、せいぜい共同持株会社をつくり、互いの連携関係は深めるものの、経営自体は独自性と機動力を保った方が良い様に思えます。
供給者の論理ではなく、ユーザー側のニーズにベクトルを合わせる時でしょう。


最近、カルロス・ゴーン氏は個人的にワイン醸造所に出資したそうです。
日頃、経済合理性に叶ったことばかりを行っていると、時として情緒や夢のようなものを求めたくなるときがあるそうです。世界に名を轟かす経営者であっても、資本の論理で物事を進めて行くことに矛盾をも感じているということなのでしょうか、印象的です。


今日もありがとうございます。
http://crelife.co.jp

×

非ログインユーザーとして返信する