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企業の価値を考える!

皆さん、おはようございます!
梅雨空の忙しない一週間を終えホッとした週末です。
今日はCafe’にでも行き、のんびりと一息いれてみたいと思います。
最近、素の自分で要られることが、何よりもの楽しみです。



金融庁と東京証券取引所が、望ましい企業統治のあり方を示す企業統治指針(=コーポレートガバナンス・コード)を3年振りに改定し発表しました。
企業価値を高めるガバナンス(=統治)がどの様にあるべきかを問うているわけですが、
その中で「資本コスト」という考え方にまで踏み込んでいるようです。


資本コストとは、企業の金融機関からの借入に利子がつくように、株主から集めた資本金にも一定のコストがかかることです。目に見える形では、配当ということになりますが、株主は企業への出資にあたり、予め株式の値上がり益をも含めた収益を期待しているため、企業はそれを上回る利益の実現を求められることになります。


上場企業の株式というのは、市場において株式を売買する参加者の価格の平均として決定する訳ですが、その市場参加者が呼応する株価は、対象となる企業の将来期待される累積収益を現在の価値に資本還元した価格で決定されることがファイナンスの教科書に書かれています。要は、企業が将来どの様な経営計画を持っているかに依存されます。


資本コストよりも収益性の低い事業や資産を抱えたままではないか、成長分野に研究や設備投資を振り向けているか等が問われることになります。その結果、収益性の低い事業を売却したり、逆に今後期待される分野の事業を買収したりするので、昨今、M&A取引件数が過去に例をみないほど、活発となっている訳です。


資本コスト概念を踏まえた企業価値を最大限に高める経営手法は、1990年代後半から日本でも多くの大手企業で導入されて来ています。企業価値経営、EVA経営、ROA経営等、様々な呼び名がありますが、ソニー、京セラ、ORIXなど、世界に誇る名立たる企業を導入企業として挙げることが出来ます。


確かに、企業の株価の価格決定メカニズムとしては合理的で理解し得るのですが、最近の企業を見ていますと、特に超大手のコングリマリット企業ほど、この企業価値経営が経営目標となって見えてしまう帰来があり残念です。ソニーなどは、家電から金融、映像まで幅広い事業を手掛けており、各事業共通する経営目標を掲げるのが難しい。


結果として、グループ全体としては株主の価値を最大限高めるのが企業の使命です、という言い方しか出来なくなってしまうのですね。しかし、本当にそれで良いのでしょうか。
ファイナンスや財務といったものは、企業経営の結果でしか過ぎないものであり、その結果を先取りする様に経営目標として掲げることには些か馴染めないものがあります。


本来、企業とは社会で求められるニーズに対して、事業を通して応える存在であり、それを実現する為に、人間が持つ暗黙知や経験知といったものを企業の中に蓄積して行かなくてはならない存在です。企業価値経営を前面に押し出すあまり、その点が蔑にされている様な気がしてなりません。


最近では、武田薬品工業が自らの企業よりも大きなアイルランドのシャイアー社を7兆円で買収するという話しが記憶に新しいと思います。この案件を見ていましても、シャイアー社の持つ北米市場を手に入れるとか、新薬開発で相互補完効果が認められるといった理由が説明されていますが、究極的には企業価値経営を前提としているのでしょう。


最近の企業は余りにも資本の論理を経営判断の軸として捉え過ぎているのではないでしょうか。私も、10年前位まではその様な考え方を持っていたと思いますが、資本の論理よりも大切なことがあると思い、中小企業の世界に飛び込んだ経験を持ちます。企業価値経営とはテクニックであり、それ自体は何も付加価値を生みません。


企業本来の価値の源泉は、やはり事業そのものであり、最近関心を寄せている小商いがビジネスの原点ではないかと思います。つくり手がつかい手との直接の遣り取りを通して、自分の思い思いの遣りたいことを自由に実現して行く。つかい手とのコミュニケーションを通した商売が醍醐味なんだと思います。コミュニティの形成ですね。


その意味では、明治維新後150年余りをかけて築き上げてきた近代社会というのは、非常にシステマチックになり過ぎていて人間が疎外されている様に思われます。いま、新たな時代の変革期を迎えるにあたり、新たな事業創出が求めらえれています。その際に必要なのは、やはり事業者とお客様との相互関係がベースにあるべきではないでしょうか。


今日もありがとうございます。
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