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これからの時代のM&Aとは!

皆さん、おはようございます!
今日も真夏の様な暑い日が続くようですね。
昨日の夕方、松本から東京へ戻りましたが、東京で降り立った瞬間の熱気に驚きました。
電車の中が涼しかったせいもあるのですが、身体から汗が出るのが分かる位です。



日頃、スケールメリットを追求するM&Aについて辛口の見方をしてしまいがちですが、M&Aの中でも前向きに捉えるべき取り引きがあるのも事実です。
一つは、事業承継に関わるM&A。経営権を持つ創業者の高齢化に伴い、いつかは経営から身を引かなければならない時期がやって来るものです。


折角、営んできた事業を一代限りで廃業することは社会にとって損失であり、親族に後継者がいなければ第三者に経営を引き受けて貰うことは必然だと思います。
もう一つは、企業が新たな事業展開を行うにあたり、自らのコアとする資源だけでは事業運営に欠ける場合に、社外にその資源を求める必要がある場合です。


外部企業との業務提携や資本業務提携という方法もあるかもしれませんが、その新規事業の継続的な安定性を考慮したとき、M&Aの方が経済合理性に叶っている場合もあります。この場合のM&Aは、ポジティブなM&Aですので、当事者企業ともに前向きな融合を図ることができ、相互補完効果も最大限高めることが出来るものと思います。


中小企業の事業承継のお手伝いをさせて頂いて思うのですが、中小企業にも二つのパターンがあります。一つは、自らの事業に対してビジョンを持っていらっしゃり、計画的に事業を成長させていこうとするパターン。もう一つは、生業の延長で糧を得ることを目的としており、明確なビジョンを持たないパターンです。


前者は、自らの経営からの引退に対して、積極的に事業承継を考えていますが、後者は、運良く後継者がいれば事業承継を考えますが、どちらかと申しますと廃業を選択しがちなパターンとなります。後者の様な中小企業でありましても、現存する事業資源を俯瞰して、市場動向を見極めて強化すべき資源を磨きあげれば活力ある事業に転換できます。


その為には、創業経営者として如何にポジティブなビジョンを持てるかが大切な訳です。
事業承継を機に、その様に事業に磨きを掛けることも可能かと思いますし、事業を承継する側からすれば、その磨きを掛ける余地が承継するメリットになると思います。ただし、残念なことにその様な観点でM&Aをアドバイスする機関がないことも現実です。


一般的な事業承継をアドバイスする機関として、民間のM&Aアドバイザリー会社若しくは仲介会社、そして地域の金融機関が支援を行いはじめています。公的には各地の商工会議所が窓口となっています。彼らは、業として事業承継に取り組んでいるため、数多くのM&Aないし事業承継を希望する企業の情報を持っています。


その豊富な情報を裏付けとしてマッチングといわれる候補企業同士の組み合わせを行って行く訳ですが、一般的には同業者同士(=水平連携)をマッチングすることが多い様です。同業者同士のマッチングを行う場合、各々の企業の営業地域が重複していなければ一定の相互補完効果が期待できますが、1+1を3にすることは難しいと思います。


少し手間が掛かるかもしれませんが、各々の企業がどの様な事業資源を持っているかを充分に分析を行い、それぞれの事業資源を組み合わせることによりどの様な新たな事業を組み立てることができるのか(=垂直連携)を市場環境を踏まえながら構想していくべきかと思います。あたかも新たなバリューチェーンを組み上げるようにです。


米ゼロックスの買収で渦中の富士フィルムが富山化学を完全子会社化するそうです。
富士フィルムは富士ゼロックスをはじめとする事務機器事業を中核とする企業ですが、新たな成長事業領域であるヘルスケア事業への本格的な進出を企図しています。写真フィルムで培ったナノテクノロジーとの相互補完効果を期待してのことです。


確かにナノテクノロジーの基礎技術を持つ富士フィルムと製薬技術を組み合わせますと、医薬の有効成分を患部に的確に命中させる分野への応用も可能かと思います。
このM&Aは米ゼロックスでの水平連携とは異なり、正しく垂直連携であり新たなバリューチェーンを構築するものとして評価できるでしょう。


先日の武田薬品工業によるシャイアー買収ではありませんが、競争厳しい製薬業界の中で富士フィルムがどの様に一線を画して行くのか興味深く思います。
これからの中小企業の事業承継にあっても、それを機に事業のビジョンを明確にし、垂直連携による体質を強化する契機になることは間違いないと思います。


今日もありがとうございます。
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