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木からクルマをつくる!

皆さん、おはようございます!
昨日の夕方からの雨が降り続いている様ですが、午前中の早い時間には止むようです。
GWも後半戦に入り、まずまずの行楽日和となる予報ですので、思い思い楽しいコトをしてリフレッシュして頂ければと思います。



いま「木のクルマ」という夢の様なプロジェクトに環境省、京都大学、自動車関連企業が取り組んでいるそうです。しかも、その試作車がこの4月に完成したそうです。
木から作った特殊な繊維素材「セルロースナノファイバー(=CNF)」をボンネット、トランクリッドに使用しており、白地に茶色の木質感が漂っています。


CNFは木の繊維を細かくほぐしたもので、直径は毛髪の1万分の1程度。重さは鉄と比べて5分の1であるが、強度は5倍以上になるそうです。耐熱性もあり、合成樹脂などと混ぜれば金属部品の代わりになり、フィルム、ガラス、ゴムの様にも使える素材です。
金属の替わりに自動車部品に使えば、車体が軽くなり燃費が向上するそうです。


工業製品を代表する自動車でCNFが導入されれば、家電、住宅、機械などにも用途が広がると期待されています。経済産業省ではCNF関連材料を2030年に1兆円規模の市場に育てる青写真を描いています。もともと原料の木材は温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収して育ち、紙の様にリサイクルもし易いので廃棄物の削減にも繋がるようです。


軽くて強度の強い炭素繊維が旅客機の機体にも使われていますので、それを代替する有望な資源となる可能性があり、とても夢のある話しだと思います。
日本は、国土の3分の2が森林により覆われている森林大国でありながら、その木材の用途は大方が建築用資材としてしか見い出されていません。


しかも、戦後まもなく海外木材の輸入が解禁されており、国内住宅の多くが価格が安く、品質の安定しているこの輸入木材に頼っています。輸入木材は工業品用素材として適合しやすかったのですが、その結果、国内の木材が生産コストと販売価格が見合わなくなってしまい、国内の林業が衰退の一途を辿っていることはご存知かと思います。


最近の飛散するスギ花粉量が増えていること、大雨の後の土砂崩れ災害は、この森林の消費、生産というメカニズムが崩れていることの一端として表出しています。もし、木材を建築用資材としてだけではなく、付加価値の高いCNFの原料として継続的に活用できる様になれば、業界も安定し、自然災害も改善されていくのではないかと思います。


もともと樹木は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンという主要な化学成分により構成されています。セルロースとヘミセルロースをリグニンが固定しているという話しを聞いたことがあります。リグニンを溶解してセルロースを抽出し、このCNFを作りだしている訳です。既にパルプなどの生産でも使用されている技術です。


セルロースの可能性については、目を見張るものがありますが、実はもう一つの成分であるリグニンにも様々な用途の可能性があることが分かっています。その大きな用途の一つがエネルギー源となることです。もともと原油や石炭といった有機化合物は、長年の間に渡り、樹木が地中に堆積されていき微生物により分解されたものだと言われています。


原油埋蔵量が採掘可能年数換算で50年とも言われる中で、このリグニンを化学的に分解して、エネルギー活用しようという研究が日本でも積極的に行われています。今はまだリグニンを分解する為に多大なエネルギーを必要とし、生産設備に要する投資額に課題があるようですが、技術の進歩によりいずれ解決されるものと思います。


いまの経済は、エネルギーを制した国が潤い、政治的にも発言力が高いと言えます。もしこの樹木からエネルギーを抽出できたら、グローバル経済がコペルニクス的な大転換を迎えることになります。それ以前の問題として、原油にしろ石炭にしろ、この地球に埋蔵している天然資源は有限であるという事実を冷静に受け止めなければなりません。


日頃、生活をしていますとエネルギーの存在があたり前の様に社会の仕組みが複雑化していますが、それが枯渇したら今の暮しは成り立たなくなってしまう危ういメカニズムであることも十分に認識する必要があります。それは、結局、私たちはこの地球上の自然環境の中に活かされている存在であることを示しています。


私たちは、この150年の間に資本の論理を追求し規模の経済を実現してきました。情報技術の進展により、その規模の経済も端境期を向かえ、ややもするとその仕組みを持て余している様にも思えます。これから新たな経済の仕組みを模索して行くにあたり、経済の起源は自然界との相互作用であることも忘れないようにしなければいけません。


今日もありがとうございます。
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