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武田薬品工業のM&A!

皆さん、おはようございます!
昨日、朝の雨も上がったので、自宅から近い神代植物公園に足を延ばしてみました。
一年振りでしょうか、道すがらに新たなCafe'が何店か出来ているのに驚きました。
園内ではチューリップ、フジ、つつじが綺麗に花を咲かせており落ち着きます。



先日、武田薬品工業がアイルランドの製薬会社シャイアーを6兆円で買収することを目論んでいる旨の発表が為されていました。
両社とも売上規模は同程度なのですが、シャイアーは難病治療薬など高収益薬を取り扱っているため、時価総額は武田薬品工業の4兆円を上回る5兆円です。


買収に必要な資金は、プレミアム分を上乗せして6兆円が必要だということです。
実現すれば国内企業によるM&A金額としては、ソフトバンクによる英半導体設計アーム・ホールディングスの3.3兆円を遥かに上回る、過去最大規模になります。
市場の受け止め方は財務リスクを懸念して、武田薬品工業に対して冷淡です。


企業買収の規模には法的な制約はありませんが、果たして自らを上回る時価総額を持つ企業を買収することをどの様に捉えるべきでしょうか。買収資金をどうするのかということもありますが、まず思い浮かびますのが武田薬品工業よりも収益力の高い企業を買収して、果たしてその後の企業統治が出来るのかという素朴な疑問があります。


シャイアー側は、売り出されなければならない事情がある様ですが、そうであるなら何もシャイアーを武田薬品工業の傘下に納めるのではなく、経営統合した方がまだしも企業統治面から納まりが良い様に思えます。きっと、その方が市場の捉え方も好感されると思います。また、財務的にはやり用がある様に思えます。


それ以前の問題として、シャイアーを統合することにより両社が事業面で相互補完効果を追求できるのか、些か疑問です。ともに1兆6千億円を超える超大企業ですので、企業文化を融合して行くことには限界があります。出来るとしたら、両社の持つ販売チャネルにお互いの製品を販売して行くことと、共同で研究開発を行うことではないでしょうか。


この規模のM&Aになりますと、事業戦略上のM&Aというより、財務テクニック上のM&Aと見えてしまいますのは私の思いこみでしょうか。
財務諸表上、相手企業の財務内容を連結して獲り入れることにより、確かに業績が改善されますが、ただそれだけに過ぎないように思えます。


M&Aの本質は、やはり他の事業そのものを自らの事業に獲り込み、融合させることにより新たな事業を生み出す様な創造性にあると思います。ただ単に、時間を買う目的で市場を取り込むために行うM&Aは、一企業にとっては売上拡大に繋がり、そのマーケットでの覇権者が移り変わるだけで、マーケット自体が拡大する訳ではありません。


昨日のコワーク(=協働)の話しではありませんが、理想的な友好的M&Aというものは
その企業で働く様々な人々が新たな文化を受け入れ協働することにより斬新なアイディアが生まれて来るような活力が必要だと思います。ここでも、やはり人間よりも資本の論理が優先されている、いままでの社会の仕組みの限界を見ている様な気がします。


大手企業も絶えず成長をし続け、時価総額を上げ続けなければいけないので大変だと思います。資本市場もお金の論理だけでなく、その企業が掲げる夢や社会的な意義を評価する様にならなければいけないのではないでしょうか。財務数値は通信簿の様なものではありますが、見掛け上の財務数値を良くする為に財務テクニックに走ってはいけません。


情報技術の進展により、製薬の世界もゲノム解析によりオーダーメード創薬の時代に入って来ると思います。どの製薬会社もこの分野に力をいれているのでしょうが、組織体が大きくなり過ぎてしまい、それ以前の問題として日々の収益を稼ぐことで本業を維持することに終始せざるを得ないのが現実だと思います。


そうであれば組織を巨大化させる道を選ぶのみならず、逆に分社化を進め、もっと小回りの利く、そこで働く人々が協働して組織が活性化する組織構造に転換することも方法としてあるのではないでしょうか。巨大組織を一つの事業方針の下、効率良く運営して行くにはデメリットが大きいと思います。ホールディングカンパニー化するのも方法でしょう。


社会全体が、もっと個人のレベルから事業を興していける(=大上段に構えることなく、自分の出来る範囲から)、そんなダイナミクスを得られる協働体制を築いて行くことが理想だと思えてなりません。その為にコミュニティ、パーソナルにもっと着目し、どの様な協働が出来るかを考える日々です。


今日もありがとうございます。
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