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規模の経済とシェア経済!

皆さん、おはようございます!
街を歩いていますと、この陽気でコートも脱ぎ棄て一気に春への服装に衣替えですね。
桜並木を行き交うビジネスマン達の自分のペースで歩くその姿が、
忙しさの中にも季節が変わったことを全身で受け止めている様に見えます。



スーパーAEONでお馴染みのイオンリテールが2020年度を目処に総合スーパー(=GMS)で販売する商品分野ごとに専門会社を約20社設立し、専門性の高い商品開発や売り場づくりに取り組むことを打ち出しました。これにより採算管理も厳密にすることで収益改善に繋げることも狙うそうです。


イオンリテールは現在、キッズ、ホームファッション、レディース、メンズ等21の商品部を持ちます。これらの商品部を順次独立させ、今までの店長は外部からのテナント誘致を含め、店舗全体の売り場構成を開発し管理する謂わばテナントリーシング事業の様な役割となるようです。


各々の商品部が独立した企業体としてアパレルメーカー、家庭雑貨メーカーを目指して行き、極端な話し、スーパーAEON以外の商業施設への出店も厭わないことになるのでしょう。確かに巨大化したイオングループの採算管理を徹底するのであれば有効な方法だと思います。どこまでそれを遣り切れるのか、見守りたいと思います。


東京五輪・パラリンピックの警備でセコムとALSOKが共同で受け皿を設立するそうです。警備会社による共同事業体(=JV)を設立して、警備に必要な人員を確保することが目的にあります。東京五輪に必要な警備員は1万4千人と試算されており、全国から広くJVに参加する警備会社を募るとのことです。


一つの事業目的に向けてライバル企業同士が手を取り合う試みは、大規模建設の際に建設会社が共同事業体を設立することは以前から行われてきましたが、それ以外では余り見かけることがなかったと思います。労働力人口が減少する中で、一時的なイベントとなる事業に対して時限立法的に共同事業化する取り組みは今後も増えて来ることでしょう。


イオングループも分社化により、風通しの良い組織風土となり新たなユニークな商品や売り場が創出される様になれば良いと思います。そして、新規出店の際に、各々の商品部会社がJVとして集まり、今までの標準化されたGMSを凌駕する新たなスーパー業態の開発に繋げられればという意味で、相乗効果にも期待したいと思います。


楽天による携帯電話事業参入が関心を呼んでいます。楽天としては、今までのEC事業によるグループ金融事業との相乗効果を更に高めていくことに期待を寄せているようです。
楽天グループの事業構造は、買い物ポイントを付与する楽天カード会員1500万人の囲い込みにあります。


これらの会員が楽天ECで買い物をすると楽天カードに出店者よりカード利用手数料が入る仕組みとなっており、楽天カードはその利用者に対する売掛債権を楽天銀行に債権売却をする仕組みとなっています。楽天銀行から見ればお客様から預かった預金の安定的な運用先となります。この様にグループ内で資金が循環する構造となっています。


最近、楽天ECの取扱販売高がアマゾンに抜かれ、楽天としては是が非でも起死回生のテコ入れをする必要があったのでしょう。そこで出て来たのが楽天携帯電話です。楽天の携帯電話保有者に楽天ポイントを付与すれば、必然的に楽天ECの売上嵩上げに結び付くことになります。


携帯電話事業参入に必要な初期投資6千億円の投資回収はグループ全体で考えれば良いことになりますので、確かに携帯電話専業に大手キャリア三者に比べれば、収入源のポケットが携帯電話利用料だけではありませんので、参入障壁が他社に比べて低いということが言えると思います。


今までの製造業を主体とする時代は、規模の経済が費用を低減させる効果をもたらして来ました。イオンの様な小売業も然りです。ところが、市場が飽和すると規模の経済も臨界点に達してしまいます。情報化社会における楽天のような事業では、「会員」というグループで共有する財産を各社が活用して相互補完的に利益を享受しています。


この様な「事業資源」を共有してコストを低減させる「範囲の経済」、即ちシェア経済が規模の経済に代わり、これからの経営における要諦になると思います。シンプルな例ですが警備会社のJV化の動きも範囲の経済と言えるでしょう。この様なメリットを追求できる中小企業群の連携関係もこれらの時代は見逃せないと思います。


今日もご覧いただきましてありがとうございます。
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