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キリンビールのCSV経営!

皆さん、おはようございます!
2月も残すところ3日、いよいよ3月になりますね。
三寒四温、少しずつ暖かい日が増えて来たのも春が近付いているからでしょう。
街を行き交う人々の笑顔もひに日に増して見えるのは気のせいでしょうか。



社長インタビューを見ていて「おゃ。これは!」と思う記事に目が留まりました。
それは、キリンホールディングスの磯崎社長のインタビューです。ビール離れが加速し、国内ビール市場が縮小し、世界の大手ビール各社が大規模な業界再編を繰り広げる中で、キリンは個性的なクラフトビールに活路を見い出すそうです。


ビール離れが加速している背景には、最近の若者がアルコールを嗜好しなくなっていることもありますが、お酒の種類が多種多様になっていることがあります。また、人口減少下において、市場の縮小がますます加速して行くことでしょう。それは、今までの規模の経済を追求する経営方針では市場との乖離が拡大することを意味します。


同業他社に目をやりますと、資本の論理にまかせて莫大な資金を投下して海外の同業他社を買収し傘下に納めるという成長戦略をとっています。これに対してキリンホールディングスでは、国内外のクラフトビールメーカーとの資本業務提携に積極的な動きを見せ、それとは明らかに異なる戦略をが採っています。


クラフトビールとは「1994年4月の酒税法の改正により、ビールの最低製造数量基準がそれまでの年間2000klから600klに緩和されたことを受けて、全国各地に誕生した地域密着型・小規模醸造の製造会社により造られる、ローカルブランドのビールを指しており、酒造メーカー等の同業異種メーカの製品は含まれない」とのことです。


キリンビールでは、これらクラフトビールの販売が堅調に推移しており、それが消費動向の変化によるものであることを冷静に見てとったのでしょう。これからの時代、消費者は大量生産された製品ではなく、自らのライフスタイルに合致する自分にとって意味のある製品をますます志向していくことになります。食品業界はそれが顕著なんだと思います。


であれば、資本の論理にものを言わせて、それらの中小クラフトビールメーカーをM&Aすることも訳のないことだと思いますが、キリンビールでは協調関係を築くことを選択しています。クラフトビール事業に必要な製造、マーケティング、物流、販売といった機能を「プラトオフォーム化」し、中小メーカーに利用して貰えるようにしています。


 キリンビールが創業後100年掛けて蓄積してきたノウハウをクラフトビールメーカーに開放するという事業支援を通じて、自らもまた多様なクラフトビールを他社に先駆けて販売できるというメリットを享受しています。ここに、キリンビールがビジネスモデルを大きく転換しようとしている意思を感じます。


過去の成功体験である規模の経済を追求するだけではなく、中小クラフトメーカーと協調関係を構築すべくプラットフォームを作る点は、ビールメーカーに関わらずあらゆる産業が参考にすべき活路であるように思います。それは社会の課題や消費者のニーズに耳を傾け、真摯に受け止めれば、これと同じ回答が導き出されるのではないでしょうか。


これからは情報社会の時代です。単に生産プロセスや業務の効率化の観点から情報技術を駆使するだけではなく、私たち消費者もスマートフォンを手にして日本全国、世界各地のあらゆる情報に触れることが可能となっています。そして、インターネットを通じて、好きなモノを好きな時に好きなだけ購入することが可能です。


その様な時代においては、規模の経済がデメリットとなることもあり得ます。
企業とは、この地球という自然環境の中で営む私たちの暮らしを豊かにする為に造られた擬制法人(=法律によって特別に擬制された法的人格を持つ者を意味します)です。その法人の運営を司っているのは私達であることを忘れてはいけないと思います。


環境が変われば、企業もそれに合わせて社会と共有できる新たな価値を創造していかなければなりません。マスコミでは、キリンをM&Aに出遅れ感と揶揄していますが、それは同社がCSV(=Creating Shared Value)経営を実践しているからではないでしょうか。きっと、10年、20年後にはビール以外の製品を手掛ける企業となっているでしょう。


今日もありがとうございます!
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