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富士フィルムの買収劇!

皆さん、おはようございます!
最近、随分と日が長くなって来たと思います。
6時を回る頃から空が明るくなり出し、17時過ぎまで外は明るいです。
日が伸びて来ると嬉しくなるもので、春が待ち遠しいですね!


2月1日に富士フィルムが米ゼロックス社を買収したことが大きく報道されていました。
今日は久しぶりに経営財務戦略(>M&A)について触れてみたいと思います。
率直な感想ですが、当事者間で周到に準備された玄人好みの大型買収ですが、将来に向けた積極的な買収というよりも、止むにやまれない成熟事業の買収だと思います。



富士フィルムの子会社である富士ゼロックスは米ゼロックスとの合弁事業です。本家本元は米ゼロックスであることを考え合わせますと、技術ライセンスは当然に米ゼロックスが持っていると考えるのが自然です。その米ゼロックスの業績が大幅に低迷しており、主要株主から毀損した株価を上げるよう、抜本的な改革を求められていたのでしょう。


富士フィルムから見ますと、技術ライセンスを手中に納められるのは良いですが、主要事業であるコピー機、複合機の業績がペーパーレス社会の中で思わしくない。6700億円もの買収資金を回収できるのか、先端技術の獲得であれば意味は異なるのですが、一つ間違えれば富士フィルム自身の株価を棄損しかねない金額です。


今回の米ゼロックス買収のメリットとしてアピールしているのは①米ゼロックスと富士ゼロックスを経営統合することにより大幅なコスト削減が図れること。技術開発、生産業務、調達業務等の一連のサプライチェーンを統合することにより1万人規模の人員削減が図れるとしています。


また②米ゼロックスの主戦場が欧米諸国、富士ゼロックスの主戦場がアジア諸国とすみ分けをされており、両社が未だ進出していない海外諸国に新規展開を計画しています。そして③富士フィルムが持つ画像処理技術と米ゼロックスが持つAI技術を融合することにより新たな製品を開発するとしています。


これら3つの相互補完効果(=シナジー効果)は、非常に分かり易い画だと思うのですが、数値計画として具体的に読み込めるのは現状①のコスト削減しかない様に受け止められます。それでも通常でしたら年間700億円以上の利益改善がないと、富士フィルムの株価を棄損してしまうことになります。


ところが、財務テクニックの上で非常に感心する部分もあります。富士フィルムが持つ富士ゼロックスの全株式を富士ゼロックスが借入金6700億円で買い取り、それと同額で米ゼロックスから第三者割当増資により株式を引き受けています。企業価値の観点からしますと、富士フィルムは間接的に富士ゼロックスの価値を付け替えたに過ぎません。


その上で、米ゼロックスの経営支配権を取得していますので、富士フィルムに有利な買収条件であったと思います。逆にいえば、それだけ米ゼロックスが窮地に追い込まれていることになりますので、富士フィルムにとって経営リスクを背負いこんだととも言えます。そのボーダーラインが経営統合によるコスト削減を担保にしていると考えられます。


将来に対しての期待感が薄い買収案件ですが、充分に検討がなされた卒のないM&Aであることに感心します。きっと、両社が敵対的ではなく友好的に充分に話し合いが為された上での結果なのでしょう。当事会社である3社とも、こうせざるを得なかったと思いますが、3社で痛み分け感が拭い去れないことが否めません。


富士フィルムとしては、子会社である富士ゼロックスの事業を安定化させる為に、技術パテントを手中に納める必要があったものと考えられます。ただし、折角、斜陽化してしまったフィルム事業から再起を図り、医療事業、高機能材料へと事業を多角化し、これら事業が売上高比で過半を占めるまでに育っている矢先の話しです。


これにより事務機事業の売上が逆転し、2/3を占めることになってしまいます。この事務機事業に技術的な先端性があれば良いのですが、どちらかと言いますと成熟産業として括られますので、今回の買収劇は断腸の思いだったのではないでしょうか。もっと早く米ゼロックスを傘下に納められれば良かったのですが、当時は一目を置かれた存在でした。


それが、米ゼロックスの業績不振によって、富士ゼロックスを統合することにより、形を変えた合弁事業として、米ゼロックスに富士ゼロックスを買収させ、その上で、米ゼロックスの経営安定化の為に、富士フィルムが50%以上の出資を行い経営権を掌握する形をとったと単純化して言い現わすことが出来ると思います。


今回の買収劇を見ていますと、つくづく経営とは難しいと思います。株式を公開している企業でもありますので、事業のことだけではなく株主のことも考慮しなければなりません。資本主義社会では、企業は留まることなく成長し続けなければなりません。必ずしも株式を公開させることだけがメリットとは言えない様ですね。


今日も、ご覧いただきましてありがとうございます。
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