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ベンチャー型事業承継!

皆さん、おはようございます!
冬の嵐後の夜の静寂(しじま)でしょうか、今朝は凍てつくような寒さはないのですが、夜明け前で森閑としていますね。庭を見渡せば、一面雪景色です。
凍りついた雪に足を獲られることのない様に注意して下さいね。。


新規創業率が低迷するなか、事業承継を契機に異分野の新事業に進出し、会社を大胆に変革する「ベンチャー型事業承継」に注目が集まっているそうです。
中小企業のそれまでの取り組みを新しい事業に活かして軌道に乗せる、新しい産業を創出する一つのあり方として着目してみたいと思います。



情報システム企業のスマートバリュー社は、企業の営業車両向けに運転日誌を簡単に作成するスマートフォンアプリの他、自治体のクラウド型健診・検診予約サービスや子育てアプリ等を手掛けているそうです。実はこの会社の前身は1928年創業の代々続く自動車修理を行う町工場であったそうです。


町工場時代、自動車電話の取り付け工事を通じてNTTと取引を開始。その様な関係から、NTTが携帯電話の販売代理店を募集する時に声が掛かり、この代理店事業で経営を安定させて、スマートフォンアプリの情報システム事業へ本格参入を果たしたそうです。
先代までの信用と情報通信技術に関するノウハウが会社にあったから出来たことです。


もし仮に同じ様なスマートフォンアプリをベンチャー企業がゼロからスクラッチで立ち上げようとすると、まず障壁となるのが開発期間中の給料、事務所費用等の支払いをどうすべきかということになります。創業したばかりの企業の売れるかどうか分からない商品計画に対して銀行が融資をするかどうかですが、これはなかなか難しい現実があります。


一方、ベンチャー企業が資金調達先として期待するベンチャーキャピタル等による出資を募ることも考えられますが、ベンチャーキャピタルに出資をして貰う為には株式公開を前提にしなければなりません。株式公開できるほどの将来性ある規模が見込まれる個性ある事業の芽を持っていなければなりませんので、どの企業でも出来る訳ではありません。


その点、スマートバリュー社の様に既に事業を営んでいる為、安定した財務基盤があります。その範囲内で新規事業を起こすことも可能ですし、既存事業の収益性を拠り所(=事業性評価という意味です)にアプリの開発資金を銀行から調達することも可能です。これが企業にとって信用があるかないかの大きな違いです。


そして、同社は、もともとは自動車の修理工場でしたが、NTT関連の事業を行うことにより、中小企業ではありますが組織として情報技術のノウハウが蓄積されていたと考えられます。ベンチャー企業の場合、個々人の技術水準こそ高くとも、組織の力として定着させられるか、多分に人間関係という難しい問題を内包しています。


この点を含めて信用なんだと思います。そんなに先端をいく技術を持っていなくとも、堅実で地道な業務を組織に定着させ、きちんと収益を生む組織構造を作っていることです。
その上で、どの様に新しい事業を創発して行くかは経営者の資質になると思います。
自らの持つ事業資源と市場環境を充分に見極め、どの様な商品を提供して行くか。


この3つのポイントに創造力をどのように巡らせられるかが重要だと思います。代理店事業を代理店事業として見ていては、新しいものは生まれて来ません。視点を少しずらし、代理店事業を通して蓄積した技術やお客様のニーズに着目出来たからこそ、新たなスマートフォンアプリという着眼点を持てたのだと思います。


昨日、ブログで記しました人生100年時代のキャリア形成も同じことが言えます。自らの持つスキルという資源と市場(雇用)環境を充分に見極め、どの様なサービスを提供して行くかを視点をずらして発想して行くことが大切です。自らが今までに築いて来たキャリアがベースになることは言うまでもありません。


スマートバリュー社のように後継者がいる中小企業ばかりとは限りません。多くの企業に後継者がおらず廃業に迫られています。一方、ベンチャー型の新規創業率も低迷しています。潜在的には創業したいと考える方々も多いと思います。であれば、創業したい事業に必要な資源を持つ中小企業の後継者になるという考え方も出来るのではないでしょうか。


一部の公的機関では、事業承継の観点から後継者あっせん事業を行っていますが、逆に起業者の為に後継者のいない中小企業を斡旋する事業主体は聞いたことがありません。
新規創業率も、その角度も高まりますし、それ以前に中小企業の廃業を減らすことにも繋がり一挙両得ですね。これは、大手企業内での起業でも同じことが言えると思います。


大手企業の事業運営の為の組織の廻し方は、起業に必要な事業運営とは相容れません。
大手企業が行える新規事業というのは既存事業から滲み出るような派生ビジネス、若しくは既存の事業資源をずらして見ることによる事業構造の価値転換です。飛び地に新たな事業を創出するのであれば、後継者のいない中小企業と連携することも考えられますね。


何れにしましても、自らが持つ資源が何であるかを充分に見極め、技術革新の中で人間の行動様式がどの様に変わるのかを予測して行くことが大切です。情報化社会の中では、企業中心社会から個人中心の社会へ変容(≠個人主義ではない)するのは間違いないと思います。より良い豊かな暮らしを創造するという視点が必要に思われます。


今日もご覧いただきましてありがとうございます。
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