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M&Aの醍醐味

皆さんこんにちは!


GWで観光地は賑わっていますね。
私は仕事で松本に来ていますが、陽気は暖かく景色を見渡せば
雪がまだ残るアルプスの稜線が眩しいです。


今日は松本のとある地域で採れる天然資源を管理育成する事業者、
その資源を加工する事業者、そして最終商品として組立販売される事業者の
川上から川下との間で事業連携を行うミーティングを行いました。


単体事業ですと各々が製造する商品が最終的にどの様に利用されているのか消費者から見えず、標準化された工業製品の部品の集まりになってしまします。それを信州は松本で採れる素材だけで商品を作ることによりブランド化しようというものです。


同じ地域で生産された素材だけで最終商品を作ることにより、地域の歴史や気候といった文化に、それらの生産者の想いが込められて温もりのある商品として付加価値を高めることが狙いとなっています。


今までに頻繁に会計上の主観暖簾について触れてきましたが、ある製品を構成する部材の原価を積み上げるだけでは、最終商品としての販売価格には限界があります。商品やサービスには、それを購入する方の必要とする便益を充足する機能性が不可欠です。


消費者にもっと積極的にその商品を購入してもらう意味性を見出して頂くためには、商品や生産者に対する共感や愛着といった心的な繋がりを持っていただくことが必要であり、それが時間とともにブランドとして確立していくものと思います。


事業の持続可能性を考えた場合にも、最も少ない資源を生産投入することにより、消費者から最も高い満足感という効用を得ることが尊く、その意味で個々人が求めるヒューマンタッチな欲求に丁寧に応えることが、主観暖簾を最大化するという意味で大切です。


ここ松本での天然素材も、素材として利用できるように成るまでに50年余りもの年月を要し、この間、その天然素材を知り尽くした生産者との対話を通して、加工がなされ、最高の状態で組み立てられお客様に届けられます。


効率性を追求する機能性重視の商品では考えられない、温かさにきっとお客様も気が付いて頂けるものと思い、この仕事に取り組んでいます。ブランド、営業権、のれんとはきっとこの様にして培われていくものと思います。


財務を本業とする私にとりましては、概念的にこの様なブランド価値を定性的に語るだけではいけません。当該事業主体が連携して事業を行う為には、各々の事業者の現状の財務諸表をベースにおいて、それを実行することによりどの様な増分利益が得られるかを係数で表現しなければなりません。


具体的に申しますと、それまで個々の事業者が所有する機能をどの様に組み合わせると効果的(=相互補完効果)な統合が図れるのか。繊細なブロックを組み立てるような感覚です。それを組み立てた結果として不必要となる事業資源も当然に生じてきます。


今まで活用してきた事業資源としての機能をそのまま使用してリターンとしての売上を享受した方が良いのか、不必要な資源を廃棄してでも新たな取り組みを行った方が良いのかは、単に現状の投資対効果の比較のみならず、市場環境がどの様に変遷しているか理解する必要もあります。


また、各業者を連携させる方法として、M&Aの考え方でいえば合併、資本業務提携、業務提携となりますが、それは各事業者が持つ事業資源の接合度合いの強さをどの様に考えるかということになります。


今日では、情報化社会により市場の移り変わりが非常に速いため、単に共同で商品を開発、新たな市場を獲得することが目的なら、ある程度の柚鳥を考えて資本業務提携や業務提携等の事業連携に留めた方が、逆に機動力が高まるものと思います。


一方、既存の異業種同士が手を携えて、新たなビジネスモデルを構築する等、事業の構造を抜本的に変革していくことになる事業連携では、会社新設や合併等の抜本的な連携関係を築いたほうが良いものと言えます。


この事業資源をどの程度の強度で連携させるかを言い方を変えて表現しますと、ガバナンス体制をどの様にするかということになろうかと思います。これからの時代は、新規事業の立ち上げであっても既にある事業資源を活用し、造り直す、再創造するというマイナーチェンジの視点が重要であると考えます。


方や廃業して無となる事業がある一方で、新たに事業を始めるというのは、資源の無駄遣いでもありますし、無から事業を始めるには世の中の移り変わりが早く、不確実性が高くいためリスクが高いという側面もあります。


今までに、事業再生、M&A、事業創出という経験をして参りましたが、私が感じておりますのは、情報化社会により生活者の価値観が大きく変わり、社会の仕組みも180度近く転換するなかで、既存の事業資源の並び替えが必要だと思うからです。


どこまで自分自身で出来るのか分かりませんが、業界の垣根を越えて、また事業の大きさや古今東西に隔たりのないre:business creatorで居続けたいと思います。
夕陽を浴びて、大月駅に近づきつつある「あずさ」車中より。



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