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スカイマーク株式再上場の是非!

皆さん、おはようございます!
人間というものは、所詮、もやもやとした存在なのかもしれません。他者とのコミュニケーションが円滑に図れているようで、実は絶えず自分の身の置き場所を探っているものだと思います。この世に二つとして同じ個性を持ち合わせた人間なんて存在しないものですから。



第二世代の新興エアラインであるスカイマークが東京証券取引所に株式の再上場を申請していることが明らかとなっています。上場で調達する資金を活用して、新型コロナウイルス禍で傷んだ財務基盤を修復するほか、航空機の更新やデジタル投資などを進める模様です。またまたエアラインネタではありますが、一企業にとっての株式公開の意味を探りましょう。


スカイマークは、2015年に民事再生法の適用を申請し上場を廃止した経緯があります。
その際は、経営権を持つエアラインビジネスを知らない経営者によって、世界でも一番大きな旅客機エアバス380をなぜか新規導入する計画で発注までしていたと聞きますから、身の丈に合わない奔放な経営方針に業績が付いてこなかったことが破綻の原因とされてます。


その後、投資ファンドのインテグラルやANAホールディングス(=HD)などの出資を受け入れ経営再建に取り組んできましたが、2019年の再上場申請時に折からのコロナ禍による事業環境の悪化を踏まえ取り消した経緯があります。2022年3月期の単独最終損益は67億円の赤字(=前年同月期は163億円もの赤字)にまで業績を回復させています。


今期の業績も改善傾向にあり、7月に単月で営業黒字にまで回復していることが強調されています。早ければ2022年中に再上場する見通しであり、上場により調達する資金で2022年3月期に約10%に低下した自己資本比率を引き上げるとともに、小型機B737を更新する他、デジタル技術を使って地上業務の生産性を高める投資を行う計画を持ちます。


スカイマークの筆頭株主は議決権の50.1%を保有するインテグラルであり、ANAHDが16.5%、日本政策投資銀行(=DBJ)と三井住友銀行でつくるファンドが33.4を保有している状況にあります。実質的に事業運営のインシアティブを持つANAHDの出資比率がマイノリティであるにも拘わらず、随分とリスクを背負わされていると思います。


例えば先に述べたA380という超大型旅客機の発注をキャンセルする代わりに、その機体をANAHDがフライングホヌという愛称によるハワイ路線専用機として導入した経緯があることは記憶に新しいと思います。その様な政治的な駆け引きの結果として、ANAHDがスカイマークの株式を取得するという実を取りに行ったことは明らかなことだと思います。


なぜANAHDがスカイマークの再建に触手を伸ばしたかといいますと、それはエアラインビジネスにとって最大の既得権益である羽田と札幌や福岡といったドル箱路線を喉から手が出るほど手に入れたかったからだと思います。ANAHDに対してスカイマークは新規参入エアラインとして政策的に基幹路線を運航する権利を付与されていることに起因してます。


今般、スカイマークが株式を再上場させる主因は、インテグラルとDBJをはじめとするファンドから資金回収の圧力が高まっているからであり、恐らく株式再上場に際してANAHDが新株を引き受け限りなく50%近くまで保有する形態になるものと思います。薄利のエアラインビジネスにとってスカイマークの再上場は苦肉の選択だと言えるものと思います。


今日もありがとうござます!
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