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3000人を配置転換するJAL!

皆さん、おはようございます!
いまの若い方々は、とても優秀だと思います。専門知識の吸収力にも優れ、何よりも与えられた課題に対し十二分な解答を導き出してきます。ただし、それが何の為の解答かといいますと、少しでも高い給料を得るためでなく、糧を得るためである事を忘れてはなりません。



日本航空(=JAL)は、グループ全体の従業員数約3万5400人の内9割に当たる約3万1300人がJALブランドを中心とした航空輸送事業で働いていることについて、その3000人を主力航空事業から格安航空会社やマイレージ事業など非航空分野に配置転換する方針を打ち出しています。コロナ禍によりビジネス需要低迷が長期化するとの判断です。


JALが非航空事業を軸に人員構成を見直すのは初めてのことであり、約3000人のうち約6割を空港販売やネット通販、保険事業などを手掛けるJALUXという商事部門を司る子会社に、約4割を2020年に運航を開始したジップエア・トーキョーなどのLCC事業に移す計画です。いち早く需要が回復すると見込まれている観光需要に対応する狙いです。


JALは2022年度に国内線でコロナ前の9割まで需要回復を見込む一方、国際線は5割弱に留まると見ています。ドル箱であったビジネス客はオンライン会議などの普及で出張が減り、コロナ前の水準には容易には戻らないとの見方が為されています。一方で、LCCの主要な顧客である観光客は、コロナ禍後の回復が比較的早いと推測しているとのことです。


同業のANAホールディングスもANAブランドの航空事業の従業員を減らすことにしています。2025年度末までに2020年度末比9000人減の約2万9000人にすることを既に発表しています。定年退職や採用抑制による自然減でスリム化する他、今年度から国内観光事業を営むANAあきんどなどグループ会社に転籍できる制度も始めたところです。


コロナ禍による需要変化にあわせ、航空会社に拘わらず旅行事業などを営む業界でも人財の再配置や新規採用などで事業構造転換に乗り出す動きが広がっています。大手旅行会社のJTBは総合職とは別にIT(=情報技術)関連の人財をデジタル総合職として継続的に採用することにしています。それは旅行以外の事業を強化することを狙いとしているからです。


また、同業の日本旅行でも、2025年度までの中期経営計画を見直し、非旅行業分野の強化を1つの柱として旅行代理店業から顧客と地域のソリューション企業への転換を目指します。社員数は2022年度に2019年度比で3割減らし、100億円規模の経費削減を行う計画です。JR東日本でも業務の兼務制度を導入し、柔軟な人財の運用を目指してます。


こうやって航空業界や広い意味での旅行業界の動向をつぶさに俯瞰してみますと、JALの対応は遅きに逸している様にも見えます。東京五輪・パラリンピック開催を背景としたインバウンド需要の高まりを前提にして、国際線の機材計画や人財計画を立て実行に移してきたと思いますが、需要が急減した今日においてもそのまま体制が維持されてきたのでしょう。


また、旅行需要にシフトするとは言っても、全ての航空会社や旅行会社が限られたパイに傾注することになりますので、そう簡単に業績を回復させることは難しいのではないでしょうか。また、社外で経験を積んだ出向社員を非航空事業で活用するとしても、2~3年の業務経験がそれら非航空事業でどの程度活かせるか未知数だということも忘れてはなりません。


今日もありがとうございます!
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