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M&A助言会社GCAを米投資銀行が買収!

皆さん、おはようございます!
日頃、仕事に埋没しがちな出張ですが、先日1日オフを設け乗鞍剣ヶ峰(標高3026m)登山を楽しんできました。登山が趣味という訳ではないのですが、仕事のことを忘れ景色を楽しみながら黙々と歩みを進め、山頂に達した時の充実感は言葉にできない爽快さでした。



米独立系投資銀行のフーリハン・ローキーは、M&A(=合併・買収)助言事業を営む国内のGCA(=東証1部上場)を買収します。近くTOB(=株式公開買い付け)に乗り出し完全子会社化を目指しています。買収額は、GCAの株価(=1051円)に約3割のプレミアム(=上乗せ価値)を付けた金額であり、買収総額は600億円強になる見通しです。


フーリハンは、新型コロナウイルス収束後に日本企業のM&Aが増加するとみて、日本企業とのつながりの深いGCAを買収して体制を整えます。GCAは、フーリハン傘下に入ることで、日本企業の米国内でのM&A助言などの機会を増やすことを目的としています。M&Aを本業とする会社同士のM&Aということもあり、非常に明快で分かり易いと思います。


GCAは、スカイマーク航空の再建で名を馳せた佐山展生氏と外資監査法人系M&A助言会社出身の渡辺章博氏が2004年に設立したM&A助言会社であり、2012年に東証1部に上場しています。半導体やソフトウエアなどハイテク系の分野に強みがあり、パナソニックの米照明子会社の売却や三井不動産の東京ドーム買収などの代表事例を持っています。


現在のGCA代表取締役は渡辺章博氏であり、今般のM&Aの意思決定をした人物ですが、
M&A業界の中にあって非常に柔和な語り口の理知的なタイプの方です。私が化学メーカーに勤務時に、建材事業のM&A案件でお仕事をご一緒させて頂いたことがあります。その時は、未だGCAという会社は存在していませんでしたが、構想をお持ちだったのでしょう。


建材事業のM&Aの方は、私どもが買い手の立場であったのですが、将来に対して楽観的な事業収支計画を前提とした買収価格の提案となりましたので、交渉の途中でとん挫したことが私の記憶の中で鮮明に呼び覚まされます。売り手企業(=東証1部上場企業)のアドバイザーであった渡辺氏は、あまり深追いすることもなく意外にあっさり引き下がっています。


きっと売り手企業との関係の中で、最低売却額が課せられていたため、M&A案件として進めることが難しいと判断されたのではないかと思います。その時から余り時間を経ることなく、GCAというM&A助言会社を設立されていますので、その時には既に佐山氏とGCAを設立する準備段階にあったのでしょう。GCAをフーリハン傘下に入ることも頷けます。


GCAを設立した2000年初頭は、ようやく日本の大手上場企業が経営戦略の一つとしてM&Aを採り入れ始めたばかりであり、それからM&A案件が増えていくことが予兆される時代です。そのタイミングを見逃さずタイムリーにGCAを設立され、株式を上場するにまで成長させたことは素晴らしい着眼点であったと思います。そして今回のGCA売却です。


GCAとフーリハンは、どちらかと言いますと取引金額数千億円という大型M&A案件を追い求めるというより、中型案件を主な得意領域としています。これから、中型事業のクロスボーダー(=海外取引)M&A案件の増加が予想される中で、両社がそこに向けて準備を整えて行くことは、同業他社との差別化を図るものであり、時流に合ったものだと思います。


今日もありがとうございます!
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