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アセットライト経営!

皆さん、おはようございます!
「なりわい暮らし」。自分の趣味や好きなことを街にひらき「やってみたい」を表現する生き方。商いというよりも、むしろ生きる楽しみになっている「コト」。そんな何気ない、人人がつながっていく街の拠点(=シェア店舗)が、私の住む街にも広がりを見せています。



最近、西武ホールディングスや近鉄グループホールディングスが、ホテルなどの不動産を売却し、運営事業に専念する動きを見せています。新型コロナウイルスの影響により持てる不動産を収益に結び付けられず、保有する資産を軽くし、傷んだ財務を改善することが目的です。自ら使う資産を自ら保有するという日本企業の考えにも曲がり角に来ているようです。


この考え方は、鉄道や観光といった業界に限らず、製造業にも及び始めています。国内の工場を集約し、海外の工場に生産を委託する他、本業ではない非重点事業を再編などにより売却し、資金化しようとする動きが顕在化しつつあります。資産(=アセット)の保有を抑えて、財務を軽く(=ライト)することを目指すアセットライト経営が浸透しつつあります。


工場などの製造設備を自ら保有せず生産を「外部委託」することや、航空機や自動車といった事業に必要な資産を持たずにリースやレンタルにより「賃借」することによっても、自ら保有するのと同じように事業を営むことが可能です。それにより、減価償却費などの固定費を減らし、委託費や賃借料など必要に応じて費用を支払うことにより変動費化が図れます。


固定費というものは長期に渡り費用を固定的に支払っていく必要があることから、景気に左右されやすい業種などでは売上低迷時に固定費が経営に重くのしかかって来ます。固定費を変動費化していれば、売上低迷時に外部委託や賃借を止めれば、比較的容易にコストを削減できるメリットがあります。資産を購入する資金を調達する必要もなくなると言えます。


その他にも、保有する資産の劣化や陳腐化によって意図せず発生する補修や修繕といった損失リスクを自ら抱えないで済むメリットもあります。従来より日本企業は、自前主義の発想で事業を営むのに必要なサプライチェーン(=製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売までの経営資源全体の一連の流れ)全てを自社内に抱え込んでいました。


自前主義で経営資源を掌握することにより、競合他社に対して優位に立てる考えられてきたことと、戦後長きに渡り続いたインフレにより保有資産の価格も高まると考えられてきたからです。ところが、バブル経済崩壊後20年余り続いているデフレ経済の下、先行き不透明な経済の中で、もっと小回りの利く機動的な経営が求められていることが背景にあります。


また、今日の欧米流の株主価値経営の考えが日本にも浸透してきていることも見逃せないと思います。資産を持たずに稼ぐことが出来れば、総資産利益率(=ROA)や投下資本利益率(=ROIC)といった財務指標改善が図れ、自社の企業価値を向上させることにより投資家の評価を高められるという最大のメリットを享受したいという思いが伝わってきます。


財務テクニックのみでアセットライト経営を指向することは、いささか短絡的な考えであると受け止めざるを得ません。これからの時代は巨大な生産設備が利益をもたらす規模の経済が必ずしも経営の常識ではなくなっています。もっと柔軟に、自社が持つ強みを何処までも尖らせ、不足する経営資源は業界を超えて他社と連携して行くマインドが不可欠でしょう。


今日もありがとうございます!
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