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evam eva yamanashi/近藤ニット物語

皆さん、おはようございます!
お盆休みも半ば、三連休の最終日ですね。
昨日は中央フリーウェイをひとっ走りして甲府南ICから10分程の所にあります、evam eva yamanashiへお伺いしてきました。


行きは渋滞が予想されたものの、朝早く家を出ましたので片道2時間、帰りは1時間で帰ってこれました。自宅から新宿に出るのと時間が変わらなかったりして。。
evam eva yamanashiは、近藤ニット(会社名です)がこの春にオープンした情報発信拠点で、小高い明光風靡な丘の上にある和テイストな施設です。


3つの施設があり、オリジナル商品を販売するショップ「色」、
evam evaのアイデンティティを物語るイベント空間としての「形」、
そして地域の食材を活かした和風レストラン「味」で構成されています。
「味」は景色を見ながら食後のお茶を楽しむ一面が窓ガラスのモダン茶室もあります。


様々な樹木が生い茂る森の中にたたずむ「蔵」が縁石で繋がっている庄屋を思わせるコンセプトに、evam evaの心地よいファクトリーブランドがほど良く置かれています。
上手いなと思ったのは、壁越しにランダムに大きな透き通ったガラス窓を配しているのですが、そこからの眺めがめる景色がまるで額に収まった絵画を思わせるところです。


あまり大々的なPRをしていないせいでしょうか、
来客者は地元ナンバーの車でいっぱいでしたが、
徐々に知れ渡って行きますと県外から訪れる方々が増え、
エリアの人気スポットになるでしょう。


最初は、何でこの様な施設をオープンさせたのか良く理解できませんでしたが、
いろいろと見聞きする中で理解できました。
近藤ニットさんは、1945年にニット製品のOEM(=お客様ブランドで生産を受託するメーカー)としてこの地域(=生糸が地場産業)で創業したそうです。


1990年代の中ほど以降、業界全般的に価格訴求がはじまり、多くの繊維工場が中国に生産拠点をシフトしていく中に、近藤ニットの娘さんご夫婦が山梨に戻ってこられて事業を継ぐことになったそうです。国内生産をするメリットは納期が安定し、デザイナーの意向を汲み取ることが確実だった位で、受注が減少する状況だったようです。


「まるで機械のように、納期に間に合うためだけに必死でつくってみんなが疲弊していくのではなくて、つくったことに対する意味合いがうまく循環していかないと」。それがファクトリーブランドの道を選んだ理由だそうで、evam evaブランドに辿りつくまでに実に7年を要しています。


OEMを行う傍ら、徐々にファクトリーブランドの取り扱い量を増やして行ったそうですが、デザインは経験のない奥様が「トレンドを追うのではなく、自分が着たいものを、もしかしたら他の人も着たいと思うかもしれない。」という観点で行って行ったら、それが一つのトレンドになっていった様です。


販売はご主人が担当されている様ですが、
最初は地域の同業者とともに展示会に出展をしていたそうですが、
コンセプトがばらばらでバイヤーに響かない。そこで表参道のギャラリーで独自に自分たちの商品を買って貰いたい人たちを招待して行ったら成功し、糸口を見出したそうです。


よくぞ海外進出の道を選ばず、独自のファクトリーブランドを展開する道を選んだと思います。事業に追われていますと、何かと財務的に効果が分かり易い方法を選択しがちになります。少なくとも海外進出を選択すれば売上が読めます。それを自分たちを含めた仕事への遣り甲斐や仕事への夢という観点から将来に対して不確定な後者を選択しています。


この判断は経営を司る立場として、社員を抱えながら想像を超える重圧になると思います。その背中を押した理由として、ご夫婦が山梨に戻って来るまで、アパレル業界での経験がなかったことが、先入観を持たずにフラットにご自身が遣りたいことを信じて進めてこれた最大の理由ではないでしょうか。経験というのも良し悪しです。


そんな紆余曲折を経て築き上げてきた自らの哲学、理念を表現する場として、
ここevam eva yamanashiを開設し、情報発信拠点とする動機となっているのではないでしょうか。自分たちの成功体験を良い意味で表現する場というのが経営者ご夫妻の思いだと受け止めています。


最近、同じアパレル業界で富士吉田市のオールドマンズテーラー、熊本はHITOYOSHIなど、独自のファクトリブランドを築き上げ、再興した中小企業が増えています。
何れも斜陽となる産業動向の中で、自らの強みを活かして、地道に自らのブランドのPRを進めてきた結果だと思います。


それが価格の安さや、効率性だけではない、自らのライフスタイルに価値を見出す消費動向とマッチすることにより成功に導かれていると思います。
このライフスタイルを表現する場としての「アパレル」が媒体として分かり易いという側面もあると思います。


ライフスタイルを訴求できる領域は、アパレル以外にも生活や暮らしに関わる領域は多くあると思います。もしかしたら、最近私が手掛ける広義の林業界も近いところに居るのかもしれません。中小企業が再興を掛ける一つのビジネスモデルとして、このevam evaの事例はとても参考になります。


今後の日本経済を考える時に、この品質に裏付けられた既存製品をブランド化していく領域以外に、情報技術の分野が一つの軸となっていくのではないでしょうか。
情報という機能性と効率性に、商品の意味性が問われるブランド化が調和した硬柔一体となった社会が将来的な暮らしのイメージだと思います。


本日もここまでお読み頂きましてありがとうございます!
また、明日もお会いできればと思います。



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