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縦割りとなった専門性の弊害!

皆さん、おはようございます!
コロナ陽性者数が一段と増え、第二波が到来している様に思えます。第一波よりも遥かにその数が増えておりますが、今回は経済との両立を考慮してか自粛要請が出されません。政府としても判断が難しいと思いますが、基本は不要不急の外出は避けるべきでしょう。



事業再生の現場において、まずは再生すべき対象企業の事業課題を浮き彫りにすべく、デューデリジェンスという精査を行います。精査には、大別すると事業上の課題を定量的に調査する財務精査と事業上の課題を定性的に調査するビジネス(=事業)精査があり、前者を会計士や税理士が、後者を中小企業診断士や経営コンサルタントなどが実施します。


本来、一つの事業を大局的に見極める為には、対象となる定量分析および定性分析を一人の専門家が総合的に判断を行い、その事業をどの様に改編していくべきかを考えるべきだと思います。事業判断するに際して、定量面、定性面それぞれに言葉にできない経験知をも手繰り寄せて、それらを繋ぎ合せていかなければ実態が浮き彫りにならないからです。


定量面、定性面の精査を分担して行っていては、本来、再生できる事業も再生できないと判断する過ちを犯しかねません。一般的に会計の専門家は事業のことは分からず、逆に中小企業診断士などの専門家は財務のことは分からないと言われています。それは資格制度が縦割りとなっている為、止むを得ない点もありますが社会の弊害とも言えるでしょう。


大手化学メーカーに勤務していた時分に、関東近県に某県が造成した工業団地を工場建設予定地として購入契約を締結したまま残代金を支払わず未だ引き渡しが行われていない広大な土地がありました。バブル経済崩壊により、同メーカーは工場建設計画を白紙撤回してしまい、県に対して経済事情の変化を盾に土地売買契約の解除を申し入れていました。


同メーカーでは社長特命担当常務取締役まで任命していながら、5年近くも協議が硬直したまま200億円もの土地が宙に浮いてしまった状態が続いていたようです。業を煮やした同メーカーでは、歴々の大手メーカーの顧問を務める弁護士に相談し、県に対する訴訟による解決を目論むのですが、どう素人目で見ても勝ち目があるとは思えませんでした。


弁護士という法律家も商売ですので、法律という自らの専門領域の中で訴訟の途中で和解に持ち込んで県から譲歩案でも勝ち取ろうと思っていたのではないでしょうか。これも縦割りとなった社会の仕組みの弊害だと思います。同メーカーのお歴々と弁護士相談に同席した私は、何を思ったか何の根拠もなく自然と任意売却による解決を申し出ていました。


簿価以下では売却しないという制約を付けられた案件でしたが、時代が物流倉庫の集約大型化という流れに乗っていることに目を向け、同メーカーの物流拠点を集約しテナントとしての家賃を確保した上で、外資系物流ファンドへの売却を果たしました。外資系物流ファンドからしてみれば、最初から投資利回りが読める良い投資物件であったと思います。


大手化学メーカー(=土地売却者であり荷物の寄託者)、外資系物流ファンド、大手物流会社という利害関係者を調整し、その用地での事業を構想し、その何れもが損のないように財務的な観点から精緻に各々の収支計算を行い、県の関係部局に開発認可を得る迄の仕事でした。この案件を利害関係者に委ね業務を進めていたら実現は難しかったでしょう。


今日もありがとうございます!
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