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ソフトバンクグループのM&A!

皆さん、おはようございます!
歩いている時に、何気に目に留る美しい光景に出合いますと、すかさずスマートフォンを取りだし写真に残すようにしています。自分の目で見えた光景と同じアングルで写メに納めようとしても、必ずしも見た目どおりに撮れないのは技術が足りないからでしょう。



2016年にソフトバンクグループ(=SBG)が3.3兆円で買収した半導体大手の英アームについて、SBGは本業の半導体設計事業に回帰させた上で、株式を上場させる計画です。英アームとの協業で強化を狙ったデータやIoT機器の管理・分析を手掛けるIoT事業が思う様な業績を上げることが出来ず、SBG内他事業体に移管する計画です。


英アームの買収当初、あらゆるものがインターネットにつながるIoTで覇権を握るための中核事業として位置付けることを表明していましたが、その計画が頓挫する形となっています。背景に、SBGは世界中のスタートアップ企業に積極投資を行ってきましたが、それが裏目に出て4.5兆円の資産売却に追い込まれていることにもあると思います。


SBGは1980年にパソコン卸売業のユニソン・ワールドが創業事業であり、その後、米ヤフーとの合弁でヤフージャパンを設立し世に知られるようになり、現ソフトバンクの前身である携帯通信会社ボーダフォンの買収によりSBGとしての礎を築き、一世を風靡した企業グループです。巧みな錬金術により成長を遂げてきた感じが拭い去れません。


現在に至るまでの事業拡大の過程で、半導体設計技術などは持ち合わせておらず、そもそも買収当初からIoT事業の中核に据えて行くことは机上の空論であることを当時のブログに記したことが思え返されます。グループ戦略として概念的に英アームを買収すれば覇権を狙えるという気持ちは分かりますが、それを遣り抜く知見がSBGにはありません。


ヤフージャパンやソフトバンクが持ち得る事業資源は、アプリケーション開発や通信技術であり、顧客も一般消費者であることを考慮しますと、どう考えても英アームとのシナジー効果を見出すために必要な技術力がSBGの中にあるとは考えられません。それがなければ例え企業を買収しても、ただ単に財務上グループ内に留まっているに過ぎません。


また、もっと踏み込めば、孫正義氏の経歴からは財務戦略的な知見はあっても、技術的な知見までに及んでいるとは考えられません。3.3兆円もの買い物をする訳ですから、経営トップが技術面を理解しており自ら率先して英アームの技術を取り込んで行かなければ、協業など上手くいく筈もありません。所詮、餅屋は餅屋であると言われる所以です。


このことは企業戦略に留まらず、個人のキャリア形成においても同じことが言えるでしょう。人は仕事を通じて様々な経験をし自らのキャリアを形成していく訳ですが、自分が得意とする幾つかの領域の根底にある基礎的知見を理解しておく必要があると思います。その基礎を為す知見や技術を軸に普遍化させることにより応用することが可能となります。


例えば、M&A、アライアンス、事業再生といった業務の基礎には、事業をそれを構成する要素資源を法的、経済的、人的な観点から有機的に結合された集合体と見做すことが必要です。今般の英アームとSBGの関係をその様な観点で孫正義氏が自らのこととして見ていたのか疑問が残ります。いくら大企業であっても他人任せてはいけないでしょう。


今日もありがとうございます!
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