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資本主義のかたち!

皆さん、おはようございます!
自分自身の言動に対して率直な意見を言ってくれる人は、ありがたい存在だと思います。とかく人間は自分を客観視することが苦手なものであり、往々にして間違った思い込みにより行動しがちです。その様な時に、信頼できる人からの意見が必要となるでしょう。



上場企業の役員に、自社の現物株式を報酬として付与する企業が増えている様です。導入企業は6月末で811社と1年前に比べて46%増え、上場企業全体の2割に達しているそうです。これまで自社株を使った報酬では、1円や割安な価格で自社株を購入できる権利を渡すストックオプションが主流でしたが、現物株を渡す企業が増えつつあります。


その背景にある理由として、中長期的に株価を高める経営をするよう役員を動機づける狙いがあるそうです。現物株を渡すことで、支給の度に保有株式数が増え、株主目線での経営に繋がるとの考え方が優勢になってきているからです。日本の企業はながらく株主の存在が軽視されてきており、会社は役職員のために存在するという風潮が続いていました。


企業活動のグローバル化が進展する中で、株主資本経営を前提とする欧米企業を前にして日本の企業が見劣りし国際競争に敗れる状況に業を煮やした金融庁が2015年6月にコーポレートガバナンス・コード(=企業統治指針、2017年12月一部改訂)で、日本の企業は株主を第一義に考える株主資本経営を採り入れていくことを明文化しています。


株主資本経営とは、企業の経済価値を最大化することにより、結果として株価を高めることを重視する経営のことです。今まで日本の企業は、株価が企業価値により規定されるという因果関係に疎く、横並び意識で配当額を決定してきたことを考えれば、企業が株主のものであることを促し意識を変えるという意味では一定の効果があったものと思います。


しかし、米国のような行き過ぎた株主資本経営に邁進しない様に注視していくことも必要でしょう。日本の場合は、あまりにも株主が軽視されてきたが為の株主への意識付けという意味でのコーポレートガバナンス・コードですが、当然に企業はお客様、取引先、従業員といった利害関係者との良好かつ円滑な関係があってこそ存続し得るものであります。


米国では、2019年8月の主要企業の経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルにおいて「株主第一主義」を見直し、従業員や地域社会などの利益を尊重した事業運営に取り組むことを宣言しています。株価上昇や配当増加など短期的な視点で株主の利益を最優先してきた米国型の資本主義のあり方に対して、見直そうという機運が生じてきています。


背景として、米国では所得格差の拡大で、大企業にも批判の矛先が向かっており、行動原則の修正を迫られたことにあります。トランプ米政権の税制改革で企業の利益水準は押し上げられたにも拘わらず、賃金の伸びは鈍く、余剰資金は自社株買いに回り、米株高を高める結果となっています。恩恵を受けたのは株主や自社株で報酬を得た経営者たちです。


また、1980年代から2000年前後に生まれたミレニアル世代の存在も無視できなくなっています。同世代の6割が会社の主な目的は利益追求より社会貢献することと考えているそうです。経営に対して社会問題の解決に取り組むよう求めており、米経済界は優秀な人材獲得や投資マネー取込みの必要から、同世代の影響力に耳を傾けざるを得ません。


米国と日本では文化的な背景が異なりますが、米国は行き過ぎた株主重視の結果、揺り戻しが起きているのに対し、日本は過度な株主軽視が、企業の競争力低下を招いた結果となっています。これからの資本主義のかたちは、企業は長期的な視点で社会の課題を事業を通して解決する社会の公器として、全ての利害関係者の利益を高めて行くものでしょう。


今日もありがとうございます!
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