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売上が減少⁈する新会計基準

皆さん、おはようございます!
今朝は久しぶりの広がりのあるくもり空で
我が家と隣家との壁の色と妙にマッチしており、
これはこれで植栽の緑が映えますね。。でも、天気予報を見れば最高気温32℃。


昨日は一日家で本を読んだり、書類に目を通したりしながら過ごし、
10時過ぎには床に入ったせいか
今朝は6時前には起きてコーヒーを飲みながら
新聞を読んだりしています。


一昨日の新聞に財務会計の新しい会計基準が早ければ来年4月から適用になると掲載されていました。いま国際的に見て、会計基準といいますと①米国基準、②EU基準、③そしてわが国をはじめとした各国のローカル基準があります。今回、様々な個別基準のうち「売上の計上基準」について、3極で統合しようというものです。


この議論は、確か10年ほど前からなされており、ようやく話しも纏まり、
具体的に実施導入に至ったものです。なかなか同じ資本主義社会とは言いましても、各国生い立ちも違いますし、根付いている文化的な部分も異なりますので世界標準となる財務会計の基準を統一するのは大変なことだと思います。


今回の新しい売上高の計上基準を個別の処理方法として事例を上げますと、
次の三点について今までの計上方法を見直す必要があります。一つ目は、百貨店等の小売業で行われる商品の仕入販売形態として「消化仕入れ方式」があります。メーカー等の納入業者側が百貨店の陳列棚に商品を冒して貰い、お客様に販売する方法です。


今までは消化仕入れ方式であっても、お客様が購入した時点で百貨店側が「仕入」と「売上」を同時に計上してきましたが、今回の会計基準変更に伴い、百貨店は単に棚を貸していただけだから、今までの売上と仕入の差額の利益分だけをマージンとして売上に計上しなさい、というものです。


新聞に事例として掲載されていた大丸百貨店を率いるJフロントグループのそれまでの売上高1兆1千億円が5千億円以下に半減するそうです。そもそも消化仕入れ方式は、百貨店業界の中で陳腐化の著しいアパレル製品の販売に関し、その在庫ロス回避と仕入資金負担を軽減する為に編み出された取引方法です。


売上至上主義の考え方の中では、心理的な抵抗感があると思いますが、利益は変わりませんので、むしろ売上高利益率はUPする訳ですから、財務の見かたとしては望ましいのではないでしょうか。
そして二点目ですが、良く販売に際して販売促進奨励金というリベートを還元することがあると思います。


今までは、一旦、損益計算書に売上を計上して、別項目としてリベートを控除する表示方法を採っていた(総額表示)かと思いますが、これからは売上計上額からリベート分を控除して純額表示しなければいけません。三点目は、割賦販売に際して、代金回収の都度売上を計上する方法が認められてきましたが、今後は割賦販売した時点に総額の売上を計上しなければいけません。


この3つの売上の個別計上基準を見ると脈絡がなく、何でだろう~??と思ってしまうと思います。そうなんです、今までの会計基準は本質的な考え方よりも先に個別の基準が先に会計上の慣行として先行して実務に取り入れられてきてしまった為、いま世界標準の会計基準を作るにあたって、根本的な財務会計の考え方を統一する作業をしているからです。


今回の考え方でいいますと売上をはじめとする収益を認識するときの考え方として「投資リスクからの解放」という概念を統一したから、個別の会計基準を変更する必要が出て来た訳なんです。先日の古川ちいきの総合研究所でのセミナーでも、この投資リスクからの解放につながる前段部分についてお話しをさせて頂きました。


企業は、売上をはじめ収益を上げる為に、固定資産、棚卸資産という事業資産に投資を行い、仕入活動や生産活動を通じて商品を販売する活動を行っています。これは企業にとってのリスクをとって投資活動を行っていることでして、商品を販売するとやっとそのリスクから解放され、利益としてのリターンが得られます。


財務会計では事業活動を投資活動の連続であるとの概念に立っている訳です。先のJフロントGの消化仕入れ方式の事例でご説明すれば、投資リスクを取っているのはメーカー等の商品を納品する側であり、百貨店は場所を提供するだけで不動産業と一緒です。だから、その棚賃貸料見合いで、商品のマージン部分を売上としなさいということです。


それから「投資リスクからの解放」という概念で既にお気付きの方も多いかと思いますが、その前提となる財務三表の考え方として「貸借対照表」を重視している点があります。この様に、世界の会計基準もやっと統一の流れになってきました。財務数字は言語とは異なり、万国共通ですから、世界的に統一するのは望ましい方向だと思います。


ただし、同じ数字といいましても、その背景にあります資本主義の概念は、各国の政治や文化とも複雑に絡み合っていますので、そこを考える良い機会でもあると思います。
中小企業には直ちにこの会計基準を適用することなく猶予期間が設けられると思いますが、同じ財務会計であるからには、やはり万国共通ですね。


この売上の計上基準については、第一次産業では商品の生育の都度売上を計上すべきではないかという面白いテーマもありますので、今後、折に触れてご紹介して行きたいと思います。
それでは良い休日をお過ごしください!



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