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トヨタ自動車らのウーバーとの連合!

皆さん、おはようございます!
新しい事業というものは、白地のキャンパスに色を入れるのとは異なり、いままで蓄積してきたノウハウや経験の上に生まれてくるものと思います。それらに新しい構想や考えが付け加わり、化学反応によって進化して行くものでしょう。



MaaS(=モビリティ・アズ・ア・サービス=移動サービス)で連携するトヨタ自動車とソフトバンクグループ(=SBG)にデンソーを加えた3社は、米ライドシェア最大手のウーバーテクノロジーズの自動運転部門(=アドバンスト・テクノロジーズ・グループ=ATG)に10億ドル(=約1100億円)出資することを発表しています。


出資額はトヨタ自動車が4億ドル、SBG傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドが3億3300万ドル、デンソーが2億6700万ドルを予定しています。トヨタ自動車は出資とは別に、今後3年間で最大3億ドルのウーバーテクノロジーズ側の研究開発費も負担する予定です。


次世代の自動運転システムを共同開発し、ライドシェアサービス用車両の量産化に目途を付ける計画です。デンソーもセンサーやカメラなど基幹部品の開発で協力して行く計画です。ライドシェアで使用する試作車の製作に1台あたり数千万円要しているものをトヨタ自動車の持つ原価低減や量産化ノウハウで引き下げて行くことに狙いがあります。


トヨタ自動車とSBGは、昨秋、スマートフォンで予約できるオンデマンドバスなどを展開する新会社の設立でも合意しており、今回のウーバーテクノロジーズへの共同出資は新たな協業の枠組みであり、両社の距離が急速に縮まっていることを如実に表していると言うことが出来ると思います。


トヨタ自動車が持つ自動車製造、販売、保守ネットワークなどリアルの世界の競争力という強みに、SBGの有望な新規ビジネスを資金面で支援するノウハウを活かした、新たな業界の勢力づくりが急がれていると言えます。自動運転の分野では、米グーグル系のウェイモ、米ゼネラル・モーターズ系のGMクルーズなどの競合が存在しています。


ATGは、1000人以上の従業員と、250台を超える試作車を抱えており、人工知能(=AI)の研究が盛んな米カーネギーメロン大学の研究者らとともに2015年に発足した経緯があります。トヨタ自動車やSBGは、ATGとの連携により自動運転車の開発を加速できると判断したことが出資に至った背景としてあるようです。


ウーバーテクノロジーズはこの5月に株式の公開を予定していますが、それに先立ってトヨタ自動車、デンソー、SBGと資本業務提携をすることは、市場に対しても好材料だと思います。自動運転の技術開発が進んでるとはいえ、その実用化に向けた量産技術がなければコストダウンを図ることが出来ません。


従来の規模の経済を追求し、製品を標準化して行った技術と自動運転という先端技術が融合することにより、新たな時代の可能性が見い出されるというものです。トヨタ自動車だけでは自動運転車を開発することは不可能であり、またウーバーテクノロジーズだけでも自動運転車を普及させて行くことには限界があります。


これがこれからの時代に望まれる、新たな事業や商品の創出に向けた企業間協働のあるべき姿だと思います。既知のノウハウや考えと新たなノウハウや考えが融合することによって、新規のノウハウや考えを創り出して行くことが可能となります。その為には、個々人が持つ暗黙の経験知から生じる閃きが大切であることを理解すべきです。


ライドシェアリングビジネスを営むウーバーテクノロジーズが自動運転車の開発を手掛けていることにも大きな意味があると思います。将来的にはライドシェア用の車両を自動運転車に置き換えて行く計画だと推察できます。運転手のいない有償の移動手段を来るべき時代の構想として掲げているのでしょう。


それは、タクシー会社としても目指すべき事業の姿だと思います。その様に考えますと、現在は参入規制により利権が認められたタクシー会社であっても、自動運転が実用化段階に入った暁には、規制の垣根が低くなり、様々な事業主体がライドシェアとタクシーの中間にある新たな事業に参入してくることでしょう。


きっと、トヨタ自動車やSBGなどもMaaSの一環として事業参入の機会を窺っているものと思います。一つの事業領域における技術革新が、様々な産業領域にまで波及していく好例だと思います。いままで築き上げてきたノウハウや経験に新たな知識を付加することにより、新たなことを創出して行く、そんな時代を迎えていると思います。


今日もありがとうございます!
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