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社会の枠組みと会計の500年史!

皆さん、おはようございます!
いまの社会の枠組みが出来上がったのがこの100年足らずだと思います。英国でワットが蒸気機関を発明してから200年余り。歴史を振り返りますと、絶えず社会の枠組みはその時々にあわせて変容し続けています。いまもきっとその通過点なのでしょう。



会計といいますと連結貸借対照表、連結損益計算書、連結キャッシュフロー計算書、更には複式簿記と思わず堅苦しい書類が並んでしまい、その仕事に就いたことがなければ思わず身構えてしまうと思います。しかし、そんな会計の歴史を紐解いて行きますと、その時代の産業変遷の必要からその制度が大きく変わって来ていることが理解できます。


会計の起源を遡りますと、いまから500年ほど前、中世はイタリアのベネツィアやフィレンツェにおける東方交易に認めることが出来ます。当時のイタリアでは、インドより香辛料を仕入れてヨーロッパ諸国へ販売する中継点として、またその後は羊毛の加工拠点としてヨーロッパ諸国の中でも随一の経済的に発展する国として栄えて来ました。


この時代に既に銀行の原型が生まれており、預金、融資、荷為替などのサービスをはじめています。交易を行うのに、現金を持ち歩いては盗賊に襲われる危険性があるので、銀行に現金を預け入れていたのですね。また、当時の事業は、いまのような株式会社制度はなく、もっと緩やかなパートナーシップの様な形態をとっていたようです。


一航海毎に必要な元手としての資金を知人関係や家族から集めて、航海が終わるとそれを精算して元手を超えて獲得した資金(=利益)をみんなで分配していました。しかし、仲間内でいざこざを起こさずにスムーズに分配する為には財産の状態を記録に残す必要があったようです。そこで誕生したのが簿記の原型だと言われています。


この簿記により、元手でどの様な商品を買い求め、またそれを販売したかを記録に留め、後々、事業への参加者が仲間割れを起こさないようにする必要がありました。事業へ参加する自分たちのために簿記を行っていたということが出来ます。その後、交易の規模も大きくなり、イタリア東インド会社やオランダ東インド会社が設立されるに至ります。


東インド会社は株式会社制度の原型ともいわれ、スポンサーを広く外部に募った。というよりも、資産家が持てる資金の運用先として東インド会社へ投資を行ったという方が正しいかもしれません。ここに金融投資の原型を見ることが出来ます。見ず知らずの外部の人から出資を受けるということになりますと、業績を報告する必要が出て来ます。


それまで身内からお金を集めて、自分たちのために行っていた会計から、外部スポンサーという他人のために会計を行う必要が出てきたわけです。人様のお金を預かって、それをどの様に活用(=原因としての損益計算書)して、結果としてどの様な財政状態になったかをきちんと報告することが行われるようになりました。


この頃は、未だ会計監査という制度はなく、日々、簿記として記録を付けることによって商売の状況を自ら証明する長閑な時代でした。やがて経済の中心がイタリアやオランダからイギリスへ移り行くことになります。時にして18世紀頃でしょうか。それまで、羊毛の輸出に甘んじていたイギリスが自ら毛織物の生産を手掛ける様になります。


その後、それまで水力を動力として用いていたイギリスが、蒸気機関という新たな技術開発により新たな動力で躍進を遂げることになります。石炭を動力源として見い出したことも非常に大きかったと思います。その後、この蒸気機関の技術を活用して蒸気機関車を発明し、鉄道事業が発達したこと、それにともなう必要から通信技術も発展しています。


それまでのヨーロッパ諸国の家内制手工業から、一気に機械工業化への道を推し進めることになります。鉄道事業にしてみましても、事業化する為には巨額の固定資産を取り揃える必要があり、ここで正式な株式会社制度が誕生することになります。それまでの事業を司る企業の所有と経営が一致していたものが分離されることになります。


巨額を融資で受けていたら、もし万が一事業に失敗した場合に返済が出来なくなってしまいますので、返済する必要のない出資(=資本金)が一般化して発達した時期でもあります。また、それまでの資金の収入と支出に基づく収支計算を前提とした会計の枠組みでは、初期投資の大きい鉄道事業では正しい利益計算が出来ないことが課題となります。


設備投資をする年は赤字で、設備投資をしない年は大幅な黒字では、会社が儲かっているのか否かが分からなくなってしまいます。そこで考え出されたのが、資産の減価償却という方法です。固定資産を耐用年数に渡って費用として計上する方法です。それにともなって現金による収支とは離れた発生主義による損益計算という考え方が生まれて来ます。
(明日に続く)


今日もありがとうございました!
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