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アルベルゴ・ディフーゾ!

皆さん、おはようございます!
東京の街並みをみると、再開発により建物がどんどん高層化されています。煌びやかでシンボリックな摩天楼が立ち並び、いつの間にかその眺めが大きく変わっていることに気付かされます。いかにも都会的な景観ですが、なぜか人間の存在感が感じられません。



「アルベルゴ・ディフーゾ 町がひとつの宿になる」という新聞の見出しに目が釘付けになりました。「人口数十人から数百人の、小さな町が丸ごとホテルになる。イタリア発の『アルベルゴ・ディフーゾ(=ALBERGO DIFFUSO)』は、直訳すれば『分散ホテル』。受付を済ませると、旅行者は町のあちこちにある空き家に案内される。


朝食をとるのもまた別の場所。小さな田舎町を歩き回るうちに、声をかけてくれるご近所さんも。暮すように旅する喜びが、そこにある。」という小見出しが続きます。
これだけを読んだだけで、旅している気分にさせられてしまいます。そして、どこかに忘れて来てしまった人間の温もりを思い出させてくれると思います。


このアルベルゴ・ディフーゾの醍醐味は、町に点在する空き家を改修した客室に滞在しながら、町を歩き回るところにあります。小さな町では住民との距離も近く、あいさつを交わせば不便な坂道も楽しくなることでしょう。食事は提携している町のレストランで取ることが出来るようですね。是非とも行ってみたい町だと思います。


いまやホテルや商業施設といいますと、モダンな鉄骨とコンクリートの中に「街」が形成されており、外側と内側とが壁で遮断されてしまって、建物の中の様子を外から窺い知ることができません。これも建築技術の進歩のせいでしょうか、建物は高層化するばかりであり、街がどんどん上空に伸びていっています。


ホテルや商業施設とは、生活に必要な機能を建物という箱の中に納めたものであると言えます。その施設にいれば、食べるところも、買い物をするところも、理美容院も、クリニックもあるところが多いですね。シティホテルや百貨店と言い換えた方が良いかもしれません。もともと、それらは「街」というコンセプトで創られています。


それが、いつの間にか地域一番点という事業者サイドのマーケティングの考え方により建物がどんどん大きくなり、いまでは高さを競うようにまでなってしまっています。その街に生き付く歴史の流れの中で街が形成されて行くのなら良いのですが、その流れを断ち切ってまで再開発を行いますと、時間とともに人々が寄り付かなくなるものです。


面白いエピソードがあります。もう30数年前になると思いますが、西武百貨店が兵庫県尼崎市塚口にあるグンゼの工場跡地にショッピングセンターを出店する際に、周辺は住宅地であるにも関わらず物流センターの様な巨大な建物を計画し、時の堤清二氏が激怒して建物の模型を叩き壊した逸話があります。


その時に飛び散った模型の破片が今の街を形成する「つかしん」のヒントになった等という笑い話があります(西武百貨店は2004年に撤退しています)。街というものは、その時々によって、少しずつ入居者が入れ替わって行くところに、街としての味が出て来るものなので、その地域に対して閉鎖的な建物を造ってはいけないと思います。


これからの時代、生活する人々のコミュニティが大切になって来ます。コミュニティを醸成して行く為には、人々が集う「場」が必要であることは言うまでもありません。それは、建物の中だけではなく、通りすがりの人が何気なしに建物に入りたいと思う様な外に対して開かれた街の形成が不可欠だと思います。


その点、イタリア発のアルベルゴ・ディフーゾは、点在する空き家を上手く活用した町そのものをホテルと見立てているところが、町の本来あるべき姿を表現していると思います。実は、日本にも、何と東京にアルベルゴ・ディフーゾと同じコンセプトを持つ、まち全体をホテルと見立てた宿泊施設があります。


それは谷中にある「hanare」というホテルです。老朽化したアパートをリノベーションして客室にし、食事は別の場所にある受付兼Cafe’で取ることも出来ます。お風呂は街中にある銭湯を利用することになっています。もともと谷根千(=谷中、根津、千駄木)自体が昔ながらの下町の趣きを残した観光地ですのでロケーションは最高です。


これから、東京五輪・パラリンピック開催に向けた景気が落ち着きだしますと、都内の建物の空室が目立って来ると思います。そうでなくとも少子高齢化、人口減少による空き家が増えているといいますのに、それらをどう地域に溶け込ませながら再活用を図って行くかも、これからの社会の大きな課題の一つだと思います。


今日もありがとうございます!
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