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士業のIT化!

皆さん、おはようございます!
11月も半ばに差し掛かり、秋も随分と深まってきた様に思います。
自宅の窓越しに見える草木たちも葉を紅く染め彩りを添えてくれています。
今年も残すところ1ヶ月半あまりとなりましたが全てを遣り切りたいと思います。



法律関連の業務を情報技術(=IT)で効率化する新たなサービスが広がりを見せています。法律関連の業務とは、弁護士、弁理士、司法書士、会計士、税理士など、いわゆる士(サムライ)業に法律で認められた当事者本人に代わり代理で行う独占業務のことです。
法律行為、商標登録、登記手続き、会計監査、税務申告などがこれに該当します。


全ての業務をITに置き換えることは出来ませんが、所管省庁などに行う登録手続きや申請手続きに際しては、専門的な法律知識に基づく書類作成が必要になります。
一般的な生活者にとって馴染みあるのが、不動産購入に際しての法務局への所有権移転登記や、税務署への確定申告業務ではないでしょうか。


この法律関係の業務をITを利用して行う新サービスを巡って、既存の規制に抵触しないことを政府が示すケースが出はじめているそうです。例えば、この10月に弁理士が行う商標登録手続きの一部をITが支援する企業サービスが政府からお墨付きを得たそうです。士業が独占する法律関連分野のIT新サービスが盛んになりそうな勢いです。


今回、経済産業省からお墨付きを得たのは、弁理士の五味和泰氏が創業したcotobox(=コトボックス)です。同社は利用者が商標登録をしたい事象が登録可能かを調べたり、出願書類の作成を支援するアプリケーションを有償で提供しています。業務を弁理士に依頼するよりも低価格で済ませることが出来るそうです。


一方、弁理士法75条には、弁理士以外の者が他人の求めに応じて報酬を得て、商標出願書類などを作成することはできないと定められています。今回、コトボックスが商標出願書類を作成していると看做されると、この弁理士法75条に抵触し違法になる可能性があったと思います。


経済産業省の判断(=事業所管大臣が規制所管大臣に確認のうえ連名で回答)は、利用者が自己の判断に基づいて自ら商標の出願書類を作成する支援アプリをコトボックスが提供するものであり、同社が書類の作成を代行するものではないことから弁理士法に違反しないとの見解を示しています。


報酬もアプリケーションの利用料であり、代理業務の報酬ではないとの判断を出しています。確かに、その様に考えてみれば、法律分野は定型的な業務が多く、IT活用の余地が大きいと思います。税務署の確定申告書の作成も、国税庁が公開している確定申告書作成アプリを使えば直ぐに出来ます。


この弁理士の独占業務であるコトボックスによる商標登録以外にも、例えば、クラウド会計アプリケーションのfreeeやマネーフォワードなども、提携する税理士事務所向けに確定申告書類作成アプリを提供しています。現在の確定申告書作成アプリは会計アプリと連動して自動で書類作成が為されています。


今はまだ、確定申告書を作成する過程で多少の専門的な知識が必要なことからでしょうか、コトボックスの様に士業法に抵触しないまでの確認が取れていないからか、利用者個人がこのアプリケーションを使用して申告書類を作成することは認められていないようです。しかし、AI技術の進展にともない、何れ解決されるでしょう。


そうなると、税理士事務所の業務というのは、単に確定申告書の作成を代行する業務から、もっと付加価値の高い相続、事業承継、マネジメント・アドバイザリー・サービス(=MAS)といった業務にシフトして行くことになるでしょう。現在でも確定申告書を作成する業務は既に自動化が済んでいるという話しを聞きます。


自社のサービスが規制に抵触しないかどうかを所管省庁に確認できる制度を「グレーゾーン解消制度」と呼ばれ、産業競争力強化法に基づいて導入されたそうです。
士業独占業務への抵触に関わらず、宅地建物取引における仲介業務において、仲介プラットフォームが契約当事者が直接取引を行うものと解されるか否かなど様々ありそうです。


独占業務のITへの置き換えによって、その利用者の保護の観点から、損失が発生しないかどうかが一つの判断軸になると思います。既に企業の社内業務において、書類作成などはRPA(=ロボテック・プロセス・オートメーション)による自動化が広がっています。私たちにとり利便性が高まるなら、オートメーション化は避けて通れないでしょう。


今日もありがとうございます!
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