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とらや 赤坂店!

皆さん、おはようございます!
愚直に一つの道を究めると異彩を放つものです。邪心に惑わされることなく、実直にそれを貫き通した先に、一つの光明が見えるものでしょう。社会に貢献する仕事の数だけ、商品という作品が世に送り出されます。事業とは人間が歩んできた営みの束といえます。


和菓子の虎屋を知らない方はいないと思います。
少しだけ歴史を紐解くと、室町時代より京都御所御用達の老舗であり、羊羹をはじめとする和菓子を創業来実に400年以上も世に送り続けているというから驚きます。明治2年(=1879年)東京遷都の折に東京にも店を構えたそうです。


1947年に法人化して、現在の年商は約190億円、従業員数962名、資本金2400万円の企業です。今までに株式を公開しようと思えばできたにも関わらず非公開を維持してきたことが、歴史に裏付けられた伝統を風化させることなく、今日に至っている理由であると思えます。なんとも事業としての奥が深く、非常に魅力的に映ります。


そんな株式会社虎屋が、最近、直営店を積極的にリニューアルしたり、新規出店しています。とらや赤坂店、青山店、御殿場店、六本木店、東京店などです。新たにオープンすると必ず見に行くのですが、この10月に建て替えてオープンした赤坂店は東京での創業の地ということもあり、建物内外の風合いが素晴らしいです。


長年の歴史の中で築き上げてきた和菓子の味を建物の味として表現していると言えます。
「簡素にして高雅」がコンセプトですが、「簡素にして」は扇形の敷地に扇形の建物を素直に建てることであり、「高雅」は奥行きや陰翳や質感によって表現しています。
赤坂御所の向かいに建つその佇まいは、とても現代和風の趣きと存在感があります。


「街に大きな庇を差し掛け、空間に奥行きをを与え、さらに陰翳を与え、檜の板壁と黒漆喰の大壁の質感がそれを受止める」との説明があります。この「とらや赤坂店」の建物の味を上手く言い当てています。地下にはギャラリーがあり、最上階の3階には菓寮(=喫茶、Café)があり、対応されるスタッフの方々のホスピタリティ精神がまた格別です。


きっと和菓子の味、建物の味だけに留まらず、経営の味も格別なんだろうと思いながら、ふと財務諸表をイメージしてみました。こうやって和菓子の味を建物の味として表現すべく積極的にリニューアルオープン、新規出店に力を入れている背景には、時代の趨勢の中でビジュアルとして自らの理念を表現して行く必要があると考えたからでしょう。


菓寮で頂いた和菓子の味は洗練された奥行きを感じます。ギャラリーではこの400年の歴史の中で培ってきた数々の羊羹のレシピが展示されており、その数の多さに圧倒されます。そして、このモダンな建物とのハーモニーが、歴史の重みの中にある新鮮さが伝わって来ます。これぞ日本の伝統、和モダンであるという言葉が似合います。


世の多くの企業が規模の経済を追い求め、株式を公開しながら事業を拡大させて行く中で、それとは一線を画して本物の事業を貫き通すことは中々できないと思います。工業生産では守り通すことのできない味を今でも変わらぬまま提供しています。やはりつくり手の顔がしっかりと見える商品というものは、信頼関係にも似た安心感があるものです。


これに対して、工業製品は企業が分業で大量に生産を行っているため、お客様からみてもつくり手の顔が見えない不安感があるというものです。これは、人間の本能的な感情だと思います。つくり手からしても、製造プロセスが分業化されてしまい、自分の仕事に対する意味を見失いがちになるのではないでしょうか。


いまクラフトフェア、クラフトビールなどクラフトが見直されています。クラフトとは工芸品や民芸品を現わしますが、つくり手の思想、価値観、考え方が商品に込められているということが出来ます。クラフトフェアはつくり手とつかい手が直に遣り取りする、両者がお互いにコミュニケーションを図りながら意思を交換する場です。


その様なコミュニティもまた、つくり手とつかい手の信頼関係を築いていると言えます。
工業化社会は、マス経済を追求するがあまり極端な分業社会となっています。個々のつくり手は丹精をこめて部品を創っているのでしょうが、それが一体となり一つの商品となった時に、一貫していない合成の誤謬が生じることも往々にして興り得ます。


社会が情報化すればするほど、商品という媒体につくり手の価値観を込め、それに共感するユーザーに伝えていく必要があるのだと思います。価値観を共有する社会なのですね。
その意味で、株式会社虎屋は商品の味、店舗の味、社員の味、経営の味に一貫性をもたせ、その価値を建物という媒体を通じても表現しているということが出来ると思います。


今日もありがとうございます!
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