誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

文化を売るショッピングセンター

皆さん、こんにちは!
今日は午後から雨模様になるというので、日経朝刊5面にあった3つの面白い記事を気にしつつ、ガレージに一時的に置いていた廃材をゴミで捨てる為の解体作業を午前中のうちに終わらせました。


でも、のこぎり片手に汗を流したのが良かったのか、
身体を動かしつつ頭の中では3つの記事が時代の何を現わしているのか。
また、発想が飛び火して財務の論点のメカニズムはどの様に整理することが出来るのか等が紙芝居の様に小気味よく巡らすことが出来ました。これもCafe'というのでしょうか。。


まずはデザイナーで東京五輪組織委員を務めるのコシノジュンコ氏が、2020年の五輪は街を変える好機だと捉えていること。本来ショッピングセンターは、非日常的なコトが集積する感性とか文化を提供する施設で、そこに行き新たな発見を通じて教養を高める場である。


しかしながら、今はどこの商業施設に行っても同じ様な施設となっており、情報過多でオリジナリティが薄れているのは、ファッションに携わる方々が洋服のことばかりを考えて、広い範囲で感性を活かしていないからだ、とのご指摘。更には、みんな東京五輪までのことばかり考えて、その先のあるべき姿を考えていないとのこと。


確かに、百貨店等を見ていますと、当初は大都市の基幹店だけに巨艦を出店して、それなりの個性を競い合っていた様に思いますが、株式上場企業の宿命でしょうか、郊外にも店舗を出店する様になり、多店舗化の道に進みだすと運営を標準化したくなります。そこにデフレ経済が押し寄せたことが、床面積当たりの収益性ばかりを求めた今の結果だと思います。


そして、以前にもブログで触れさせて頂いた、日本郵政による野村不動産買収の件について、日本郵政側が買収を白紙撤回するとの記事です。理由としては、豪州大規模物流会社買収失敗の冷めやらぬ中で、商業立地不動を多く持つ日本郵政にとって、マンション分譲事業に強みを持つ野村不動産を買収しても効果が見込まれるか不透明なこと、それ以上に前回の新聞記事で野村不動産の株価が上昇していしまい、買収価格が上がってしまったらしい。


日本郵政の長門社長のコメントを拝見しますと、全国2万4千局という資産を活用する為に、買収で手っ取り早く効果を出す狙いもあったが、NTTグループの様に自前で開発力に磨きをかける手もあるので、もう少し資産活用の方法を検討するそうです。ネット販売の拡大で宅急便の伸びは高いが、郵便事業はこの10年余りに3割減っているらしい。


私は、日本郵政も株式を公開して得た資金を裏付けに、大型買収も目論んでいるのだろうと思いますが、前にも記載しましたように財務的な観点からしますと、株式市場よりも高い価格で買収しても、その買収価格を上回る利益を得るのは、野村不動産に日本郵政が持つ商業系不動産の開発で本当にコシノジュンコ氏が指摘するような文化性の高い商業施設を開発できるのか懐疑的です。


それよりも丸の内の東京中央郵便局で開発したKITTEの様な施設を自前で開発した方がノウハウの蓄積にもなりますし、財務としてのコストも低く抑えられると考えます。
ただ残念なのは、東京で一定の成功を収めたKITTEのスモール版を名古屋駅近に開発しても、地域性も違えば、歴史も異なりますので成功するものではないことが残念です。


昨日、Cafe’文化でも記載しましたが、商業施設というものはその地域特性や歴史性に根差したコミュニティ空間としての場でなければいけません。最近はアウトレットモールに行っても、どの地域のアウトレットモールも施設内に入ると何処へ行っても同じで、気味悪いです。本来、ショッピングセンターはその地域の中に溶け込んでいなければなりません。


そして、皆さまも既にご存知のことと思いますが、米アマゾンが生鮮食品市場の牙城を切り崩す為に高級スーパーを1兆5千億円で買収するというものです。
アマゾンも既に「アマゾン・フレッシュ」という生鮮品の当日宅配を始めているが、商品の管理ノウハウや食品の安全性や信頼性の観点からネット販売に限界があったようです。


確かに、日本で共働き家庭が増えている中で、生卵を不在で2~3日配達が遅れるなんてあり得ませんよね。生鮮品全般にそうじゃないですか。アマゾンでは、その辺を改善する為にもネットで注文して、最寄りのリアル店舗で買回り品の受け渡しを考え着いたようです。潜在とかなら兎も角、ネット販売にも取り扱える商品と扱えない商品がありますね。


では、別にネット販売業者が生鮮品を扱わなくても、よいのではという意見も出て来そうです。アマゾンからみれば全米で80兆円以上もある市場を見過ごす訳にはいきませんよね。もう一つ、私は思うのですが、書籍販売でスタートしたアマゾンのロングテール効果に着目したいと思います。ネット販売でOne to Oneマーケティングです。


これにより、例えば自費出版に近い発行部数の少ない書籍であっても、ネット販売であれば書籍情報を消費者に伝え、書籍を宅配で送り届けることは、リアル店舗では出来ない情報産業だから出来ることです。ということは、地域性の高いご当地生鮮品もこの仕組みを応用できるという強みがあります。


ただし、書籍と違い、食品ですから安全性や信頼性についての管理基準等の検討すべき課題は沢山あると思います。しかし、ドローンを個別配送に使用しようと実証している、それ以前に自ら物流の為にアマゾンのロゴが入ったジェット貨物機を飛ばすことのできる最強のインフラを持ち、この度、リアル店舗をも確保するので実現するのも真近でしょう。


日本の商業施設が自ら招いた行き過ぎた店舗標準化(=言いかえれば、地域性や文化性への配慮に欠けていた)による業績低迷において、アマゾンの様なオムニチャンネルによる地域性を踏まえた取扱商品の多様化が出来れば、現状の行き過ぎた標準化を是正することも可能ではないでしょうか。


日本人は勤勉なせいか、国民性も手伝って標準化、システム化を情報技術の取り入れながら「業務効率化」ばかりを進めて来ましたが、逆にそれが硬直的な組織体制を作り、新たなアイディアを取り入れることを排除する気風となりつつように思います。確実のブログでの、専門特化を進めるが故の、個人間、組織間の垣根が高まり、コミュニケーション不足が起きていることも同じです。もっと付加価値を生むことに情報技術を活用しなければならないと思います。


Cafe'文化ではないですが、もっと人間の本質的な遊びの部分に着目し、感性や文化を大事にする気風を育て上げて行かなければ、財務的にもコストダウンによるデフレ経済の中では株式を公開していいる意味がなくなってしまいます。その意味で、今日の日経朝刊の①コシノジュンコ氏の商業施設に対する指摘、②アマゾンの米高級スーパー買収、③日本郵政の野村不動産買収白紙化の本質的な部分は同じであると思います。

×

非ログインユーザーとして返信する