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パナソニックの働き方改革!

皆さん、おはようございます!
今日は松本で朝を迎えています。昨晩、最終のあずさで松本へやって参りました。
台風の余波でしょうか、空高くところ所に垂れこんだ雲の合間から陽が射しています。
こうやって2週間に一度の割合で訪れる松本は既に第二の生活圏の様な感じがします。



パナソニックが、先日国会で可決された働き方改革法案に時を同じくして、企業による実行力が問われる中で、立て続けに働き方改革を打ち出しています。
労働時間にまつわる問題に留まることなく、1ヶ月から1年程度他社で働く「社外留職」制度、やはり1ヶ月から1年間他部署と仕事を掛け持ちする「社内副業」制度。


更には、勤務時の服装も自由にして、世代を問わずジーンズやスニーカー着用を認める「服装自由化」制度、「在宅勤務」制度については事前の申請を簡略化して使いやすくする他、会議室代わりにソファなどを置いた打合せスペースを用意する「オフィス改良」、そして、それらが組織として定着する様にする「旗振り組織」の創設。


働き方改革法制だけでは手の届かない、組織風土を変革する為に必要な諸制度を全て盛り込んだ形です。報道記者向けに働き方改革の説明会を開催するほどの念の入れようですが、対外的なアピールを行うのと同時に、グループ社員向けのメッセージと受け止めることが出来ると思います。


今回のパナソニックの働き方改革は、現状、自動車や産業向けの蓄電池事業が比較的好調に推移しているとはいえ、中長期での次なる成長の柱を描き切れていないことが指摘される中で、革新的な製品やサービスを生み出す組織風土に変革することが狙いにあります。お堅いイメージのあるパナソニックに滲む危機感が底流にあるのでしょう。


その組織風土を変革する為に、今回の働き方改革の諸制度以外にも、元パナソニックに勤務し、社外で革新的な業績を残した人材を出戻り人事として迎え入れていることも、その危機感が並大抵でないことを物語っています。代表取締役専務として元ダイエー社長、前日本マイクロソフト社長であった樋口泰行氏を迎え入れています。


樋口氏は経営再建中のダイエー社長として日本ヒューレットパッカード社長から転身したことで世の中にその名を知られた人物だと言えます。また、11年前までパナソニックの商品企画業務に携わり、ハードウエアー受託開発ベンチャー企業を創業した岩佐琢磨氏率いるシフトール社もパナソニックにより買収されています。


同氏は大手家電メーカーでは参入が難しい少量生産少量消費の分野で、大手企業なら3~5年も掛る製品開発期間を1年程度に短縮するアジャイル開発を実現し、FabLab型ものづくりの世界で知らない人はいない人物です。その岩佐氏が、パナソニックのイノベーション本部の傘下で正しく同社を変革すべく活躍されている様です。


そのイノベーション本部の本部長も元SAPジャパンに在籍をしていた馬場渉氏が率いているといいます。その他にも、世界中に点在していたパナソニックデザインセンターを京都に集約し、その責任者およびメンバーの多くを社外から招き入れています。ものづくり組織の要所要所にパナソニックDNAを受け継ぐ外部人材を配していることになります。


それだけ、現状の組織のままでは企業としての存続が難しいという思いが経営陣にあるのでしょう。これはパナソニック固有の問題ではなく、日本の多くのメーカーが抱えている氷山の一角だということが出来ると思います。産業の近代化の歴史を振り返りますと、戦後のモノの無い時代を経て、各家庭にあらゆる製品が満たされる様になっています。


一部の情報家電以外に新たに需要を創造する様な製品の提供が考えられなくなっており、いまある消費者の需要はせいぜい家電製品が壊れたことによる買い替え需要に留まっていると言えるでしょう。しかも、シェアリング経済ではありませんが、消費者側がユースド品やタイムシェアで需要を満たす様にもなっています。


既に世界の自動車産業では、クルマを販売する時代からサブスプリクションという利用に応じて使用料を払う課金型、若しくはシェアリングの時代へと転換をはじめています。
ただ単に、新しい製品の開発を行うのみならず、これまでのビジネスモデルあり方さえも変革を迫られている時代だということが出来ます。


その様な時代に、今までの成功体験に裏付けられた極端に同質性の高い組織のチームワークにおいて、新しいビジネスを生み出すことは不可能なところまで行き詰っていると言うことが出来ます。独創的なアイディアは、自律した幅広い経験知と異文化体験により視点をズラして行動することが不可欠です。それが働き方改革の本質であるのでしょう。


今日もありがとうございます!
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