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パナソニックの他社修業制度!

皆さん、おはようございます!
久しぶりに纏まった雨が降り、これで今年も梅雨入りですね。
昨晩は、既成概念に捉われない面白い事業を営む経営者懇談会に参加させて頂き、刺激を受けて帰ってきました。皆さんに共通するのは社会関係資本を上手く活用されています。



パナソニックが、今度は社員の能力開発を狙いとして、他社修業制度を採り入れるそうです。社員は、パナソニックに籍を置いたまま1年程度他社で働くことが出来る制度です。
謂わば、社外留職ともいえ、社員が自発的に手を上げ、他社の力を借りながら能力開発を進める取り組みです。


例えば、生産現場の社員が自動車メーカーで学びたいと希望を出すと、社外留職を手助けするサービス会社が越境学習先の企業を紹介してくれる仕組みの様で、受入期間や給料の分担といった条件面は、受入先企業と個別に取り決めるそうです。グループ会社内での出向でしたら良くある話ですが、全く資本関係のない企業への派遣は珍しいと思います。


確かに、一つの企業文化の中に長年勤務していますと、組織として蓄積された形式知を社員の誰しもが理解し、阿吽の呼吸とも言えるスムースなコミュニケーションを図ることが可能です。それだけ日本の企業は、組織部門間を超えた課題に対する意見調整力に長けており、そのチームワーク力を持って世界的な企業へと伸上がってきたと言えます。


しかし、現在に至っては、消費者動向が大きく変容し、モノを作っても市場が飽和してしまい売れなくなっています。その様な時代においては、どの企業も新たな商品を生み出す力(=創造力)を如何に企業として醸成して行くかが課題となります。チームワークによる円滑な組織運営だけでは、如何ともしがたい部分だと思います。


創造力とは、身体内に蓄えられた知識、経験、五感が、外部から刺激を受けた時に触発されて、インスピレーションとしてアイディアが思い浮かべる力だと思います。外部からの刺激は、価値観の異なる人と話しをしていた時や自分が今までにしたことのない経験をした時など、驚きにも似た閃光が頭をよぎる瞬間を誰しもが持っていると思います。


言葉に上手く言い現わせないが、自らの経験値として習得するものがあります。これを形式知に対して暗黙知と言われています。この各人が持っている暗黙知と暗黙知とを擦り合わせながら誰しもが分かる言語として表象させるプロセスを通して形式知として組織に根付かせることが可能となります。


日本のどの大手企業も創業間もない頃は、この暗黙知を形式知化するプロセスが非常に上手かったからこそ、日本のメーカーは世界でも注目される様になったと思います。
ところが、余りにも階層型ヒエラルキー組織が肥大し過ぎてしまいますと、既知のことについてはルールとして運用することに長けても、暗黙知の形式知化が出来ない。


介在する組織内の人の数が多すぎて、コンセンサスが採り難くなるからです。
また組織内の同質性が高くなり過ぎてしまい、社員個々人が外部から刺激を受け暗黙知を創出する機会自体が減っているなか、例え暗黙知を持つに至っても、それを形式知化するプロセスが上手く機能しないというのが現状の問題点ではないでしょうか。


その様な中で、パナソニックが積極的に他社修業制度を設けることは、新たな暗黙知を獲得する機会にも通じます。そして、単に新たなアイディアを獲得する機会を設けるだけではなく、今までのマスプロダクション製品のみならず、アジャイル開発による多品種プロダクション製品開発による開発期間の短縮化とも整合することでしょう。


アジャイル開発は短期間で商品開発をする為、少人数によるプロジェクトチーム編成により機動力を高めます。それは、チームメンバーの持つ暗黙知を擦り合わせて形式知化して行くプロセスを円滑化することに他なりません。暗黙知を獲得する機会と、それを形式知化する互いに連環する機会を制度として導入することになります。


この様に見ますと、パナソニックは大企業と化してしまった自らの組織上の課題を充分に理解した上で、これらの諸策に取り組んでいる思います。後は、この大いなる実験の成果が目に見えるように出てくれば、グループ組織の舵を思い切り、そちらへ振って行くことになるのではないでしょうか。


企業組織は、効率性を追求する存在であると同時に、行き過ぎた効率性を追求しますと創造性を失ってしまいます。この相矛盾する関係のバランスが難しいところだと思います。業務を標準化して効率性を追求するところはAIをはじめとする情報技術により代替され、人間はより創造的な仕事にシフトしながら併存していくのではないでしょうか。


今日もありがとうございます。
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