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日産とルノーの行方!

皆さん、おはようございます!
今朝も松本で朝を迎えています。
昨晩は久しぶりに松本の味覚を楽しみ、今日に備えて早めに床につきました。
松本は、ほんとうに街も人の距離もコンパクトで過ごしやすいと思います。



仏大手自動車メーカーであるルノーの株式を15%所有する仏政府が、日産をルノーの傘下に完全に組み込み、両社の関係を不可逆的なものにするという意向を示しています。
自動車のIT武装化、自動運転車、電気自動車(=EV)、カーシェアリング等と大転換期を迎える自動車業界にあって、仏政府の意中も分からない訳ではありません。


いまや自動車産業は、グローバルに同業メーカー同士が競い合うだけですむ話ではなく、米Uber、米Google、米Apple、ソフトバンクといった情報産業が雪崩れ込むように自動運転車をはじめとする次世代のクルマの開発に向けて凌ぎを削っています。
迎え撃つ自動車メーカー連合をもってしても、事業規模に歴然の差があります。


仏ルノーは1990年代末に業績悪化に喘いでいた日産自動車へ43%の出資を行い、カルロス・ゴーン氏が同社のトップとして会社を再建してきた経緯があります。
今では日産自動車が三菱自動車の34%の資本関係を持ち、仏ルノーを頂点とした大自動車連合を形成するまでになっています。


仏政府の思惑に端を発して、仏ルノーと日産自動車の資本関係を見直す構想が浮上している様ですが、どちらが連合の牽引役なのか両社の考え方に大きな溝があるようです。仏ルノーは日産自動車の筆頭株主ですが、同社は日産自動車からの利益を支えに業績を回復させており、資本の論理と企業力の何れを優先させるべきかの相違が顕在化しています。


ルノーの連結純利益に占める日産自動車からの貢献利益(=持分法による投資利益)が5割を超えており、日産株から受け取る配当金も900億円近くを仏ルノーに支払っているとのことです。仏ルノーの株式時価総額も2013年末には2兆2千億円と一時は日産自動車の半分近い状況でしたが、今では3兆4千億円まで回復しているそうです。


仏政府の囁きに端を発した巨大自動車連合の新たな経営形態をどの様に着地させていくのか、仏国民にとっても、日本国民にとっても興味深い話題ではないかと思います。
資本の論理に従えば仏ルノーが日産自動車を掌握していると言えますが、企業の実力からすれば日産自動車が仏ルノーに貢献していると言えます。


最近、武田薬品工業によるアイルランド製薬大手シャイアーの買収や富士フィルムによる米ゼロックス買収の話題が取り沙汰されたばかりだと思います。
成熟する経済の中で、規模の利益を追求し、売上や時価純資産等の財務面で業界のリーディングカンパニーになることばかりに気を囚われている様に思えます。


売上が伸び悩む中で経営統合により規模の経済を追求するということは、両社に跨る重複する部門は統廃合することを前提としており、それにより単位あたりの生産コストを高めることが狙いとなります。それは既存の商品や事業の枠組みを引き続き前提とする考え方であり、時代の変革期に新たな事業や商品を創出することとは次元の違う話しです。


まずは、お互いの企業が持つ核となる事業資源を充分に見極め、新しい時代に望まれる事業を営むために不足する資源が何かを明らかにし、不足する資源を社外に求めて行く機動性が必要なのではないでしょうか。お互いの補完性が非常に高いのであれば経営統合まで考えればよく、資本業務提携、業務提携でもコトが足りると思います。


仏ルノーと日産自動車の覇権争いは、両社に情報技術を持った企業との連携の話しが聞こえて来ませんので、未だ次世代カーの開発に前向きに取り組んでいるというよりも、従来の市場シェアを重んずる発想の中で議論が為されている様に思えてなりません。
「事業」に確たる相互補完性があるのであれば資本の論理も企業力もありません。


もっと建設的に、将来のあるべきクルマの夢を語り合い、それを実現する為にどうすべきかを現実的に考えて行くべきかと思います。仮に仏ルノーが日産自動車の株式の過半数を掌握するとは言っても数千億円の資金が社外流出(=グループ外流出)するだけであり、あまり経済合理性に叶っているとも思えません。


産業革命後150年を経過する産業界も専門分化し規模を大きくしてきました。
市場が成熟し、情報革新により新たな社会の枠組みが望まれる中においては、ピラミッド型のヒエラルキー組織では新たな事業を創出することに困難を伴ないます。もっと柔軟に自律して働ける組織の枠組みを創ることによって、自ずと答えが見えて来るでしょう。


今日もありがとうございます。
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