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アートを考える!

皆さん、おはようございます!
今週は春の陽気も一休みの様ですね。
重たい雲が空を埋め尽くし、いまにも雨が降り出しそうな気配です。
でも、桜のつぼみは目一杯膨らみ、次の陽気には綺麗な花を咲かせるのでしょう。


熱海にあるMOA美術館(=熱海美術館)とCOEDA HOUSEに行ってみました。
両施設ともに相模湾を見下ろす各々小高い丘陵の頂に位置します。
相模湾から吹き上げる上昇気流をトンビが伸ばした翼で包み込み、上空を飛んでいるにも拘らず滞空したり、横滑りをしている姿が清々しく脳裏に焼き付きます。



MOA美術館は、隣り町にある江之浦測候所を手掛けた写真家であり現代美術作家である杉本博司氏と建築家榊原倫之氏が主宰する「新素材研究所」が設計を手掛け、伝統的素材と現代的デザインを融合した新しい空間を体現しています。江之浦測候所と同様に、周囲の自然環境と調和した施設の姿が印象的です。



正面入り口から地中を移動する長いトンネルのエスカレーターを5本乗り継ぐと美術館に到達します。いま登って来たエスカレーターを美術館から見降ろそうとしても、建物からは全く見えない様になっています。丘の斜面に建てられた3階建ての建物は相模湾に正対する様に一面がガラスで張り巡らされています。


建物の外観は、斜面を上手く利用しており少し天井の高い1階建ての建物が横長に位置している様に見えます。芝に溶け込んで見えるのも、建物の色への配慮が為されているせいでしょうか。丘の丸みに四角い建物が同化して見え違和感がありません。建物に使われている素材のせいなのか、素晴らしいデザインだと思います。


一方のCOEDA HOUSEは、東京オリンピック・パラリンピックの会場となる国立競技場を設計した隈研吾氏の設計です。建物の中心から木を積み上げたツリー状の構造となっており、四方はガラスで囲われています。遠目で見ますと、海を借景とした丘の上にある一本の樹のようなデザインが魅力的な建物です。



COEDAという名の通り、積み上げた角材がそのまま屋根をも支える構造となっているのが特徴的です。いま建築中の国立競技場をも想像させる、隈研吾氏らしい斬新なデザインとなっていますが、木と透明のガラスしか使っていませんので、これもまた周囲の木々に溶け込んだ姿が絶妙です。


相模湾を挟んだ対岸には、先ほどのMOA美術館があろうと思われる丘陵がそびえ立っていますが、稜線との関係で建物は見ることが出来ません。
MOA美術館からこのCOEDA HOUSEを探してみましたが、こちらもまた周辺の木々の陰に隠れて見えない様になっています。


MOA美術館、COEDA HOUSEに共通しているのは、建物の構造、素材こそ異なりますが、相模湾を見下ろす小高い丘の上に自然環境と調和する様に佇んでいるところです。それが建物のデザインのみならず、遠目で見ても自己主張することなく優しく配慮されており、建物の中に居ても違和感のない自然な感じがします。


現代の建築の系譜を辿って行きますとル・コルビュジエに行きつくと思います。コンクリートという素材を使用して、自然と調和する機能性を追求した建築です。
MOA美術館も、COEDA HOUSEもその系譜を引き継ぎながらも、各々日本らしい木目細かいデザイン的な配慮と素材を活かしながら独自の主張もしています。


この微に入り細に入る感性は、改めて日本人ならではのものであると思います。それ以上に、その様な感性を忠実に表現している設計者のプロとしての技に魅せられるものがあります。しっかりとした存在感を主張しながらも、決して奇抜でない柔らかい表現です。
正しくアートと技術が融合した作品であると思います。


明治維新以後150年が経過していますが、この間に経済合理性を追求するがあまり、本来、アートと技術のバランス良い経済発展を図って行くべきところ、技術面ばかりが研ぎ澄まされてきた歴史であったのではないかと思います。それは工学的な技術のみならず社会科学的な技術、すなわち標準化、システム化をも含んでいます。


本来、この地球という自然界と人間が対峙する中で調和方法を模索する営みであるはずにも拘わらず、その技術やシステムに人間が疎外感すら感ずる社会になってしまった様にも思えます。これからの時代、私たちの将来のあるべき姿を表象するアート性をも取り戻す必要があるのではないでしょうか。


今日もありがとうございました。
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