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事業の目利き力!

皆さん、おはようございます!
この三連休、暖かい穏やかな天気が続き、春の到来を予感させます。
外に目をやれば緑が芽吹きはじめています。
あと一回くらい寒波が到来して、いよいよ季節も移り変わって行くのでしょう。



事業の「目利き力」とはどの様なことをいうのでしょうか。
一般的には財務諸表を通じて経営指標を分析し、業界標準や同業他社と比較して個々の指数の良し悪しを評価することをイメージすると思います。本当に大切なのは、財務数値でアウトラインを掴みながらも、数値の裏(=表)にある事業の意味を理解することです。


財務数値というのは経済行為(≒法律行為)の結果であり、事業を営む上での将来事象を含む経済行為のうち金銭で把握できるものだけが財務諸表に表示しているに過ぎません。財務数値の一つ一つがどの様な経済行為を意味しており、また財務数値として現れない経済行為をも読み解き対象となる事業の要諦を浮き彫りにすることが目利き力です。


いま地方銀行10行が、新たな融資先の掘り起こしにつながる目利き力の向上を目指しているそうです。銀行といえば、高い信用力の企業に優先して貸し出すが、信用力の低いものの将来性が高い企業には貸せない。また担保主義という融資姿勢が業界の慣習となっていることが、事業に対する目利き力が育たない大きな課題となっています。


大手メガバンクも目利き力では否めないところがありますが、グローバルな事業展開による為替手数料収入、潤沢な財務基盤による大胆なシステム化投資による合理化、証券、生損保と一体となった複合商品開発により、超低金利下においても耐え得るビジネスモデルへ大胆に改革しはじめています。


それに対して地方銀行は、地方都市を営業基盤として置きながらも、従来からの日本型の融資姿勢のままであることから、地域の本当に資金を必要とする企業に資金が還流していないという現実があります。そうでなくとも、地方経済の衰退が危惧される中で、見映えのする財務内容の良い企業にばかり貸し出しを行おうとしています。


地方銀行の使命として、また自らの金融事業の収益基盤の改善の為にも、地域の将来性ある企業を育てて行かないとなりません。金融庁も、金融行政方針の中で、抜本的な経営改革に着手し、地域の経済や企業に貢献しない金融機関は、いずれ淘汰されてもやむを得ないという姿勢を明らかにしています。


行政指導として、いままでの担保主義による融資の方法から、個々の企業の将来性をも見込んだ事業性を評価した融資のあり方に変更する様に迫っていますが、なかなか進んでいない実情があります。これは営業担当者の目利き力以前の問題として、地方銀行というビジネスモデル自体を変革していく必要があると思います。


財務内容が優良な企業への融資の方が将来性があると見込まれる中小企業よりも貸し倒リスクが低いことは言うまでもありません。しかし、ファイナンスの理屈から申しますと前者の方が利息が低くて、後者の方が利息が高くなるべきですが、実際にはそれほど明らかな差異はないようです。また、前者は資金需要が先細りであることも見逃せません。


事業というものは、金融機関に拘わらずともどの様な業種であっても事業リスクが存在します。そのリスクを予見したうえで、上手く回避するノウハウを持つことが事業としての基盤をなすものです。そのノウハウが利益の源泉となります。金融機関では、リスクがあると予見される取引先から、如何に収益を上げるかが問われているとも言えます。


銀行実務の要である目利き力を高めて行くのであれば、将来性が見込める企業に対する貸し出しのみならず、財務アドバイス、提携先企業の斡旋、事業承継・M&Aといった報酬ビジネスにより収益力を高めることも出来ると思います。それは正しく将来性が見込める企業を育てることにも繋がると思います。


今回の地方銀行による目利き力の養成は、目利き力をマニュアル化し、分析評価にシステムを活用する様ですが、本当にそれで目利き力が強化されるのか疑問が残ります。
冒頭に記した事業そのものを見極める目はもちろんですが、それ以上に全人格的な哲学を持っていないと、相手の経営者と対峙することも出来ません。


大切なのは、自らの経験に裏付けられた直観力なのでしょう。その様な意味においては、本来、事業経験がないと本当の意味での目利き力を養うことが出来ないのかもしれません。匠の技ではありませんが、その様な目利き力をどのようにして地方銀行の肝として確立して行くかは、兎に角、場数を踏んで行くしかないのではないでしょうか。


地方銀行がビジネスモデルを大きく転換させて、企業とともに成長を目指すようになれば、地方経済にも明かりが射し込んで来るのではないでしょうか。
これからの時代は、地域内でヒト、モノ、カネが循環していく時代だと思います。その為にも、早く地方銀行が新しい金融機関のあり方を実現して頂ければと思います。


今日もご覧いただきましたありがとうございます。
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