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明日は我が身のM&A

皆さまこんばんは!


今まで書いて参りましたブログを振り返ってみると、
現状の自らの思いが投影されているのでしょうか。。
少々、財務から離れてしまいまして地域の中小企業が、どう事業に取り組んで行くべきかという観点のお話が続いてしまいました。


今日は、少し趣を変えて新聞紙上を賑わせている大手電機メーカーのM&Aについて考察をしてみたいと思います。
当該メーカーの最近の掲載記事を見ますと、監査意見を付けずに決算報告という、前代見モノの中締めとなったようです。


上場企業で経理業務に携わっていらっしゃる方なら、実情が手を取るように理解されていると思います。確かに米国の原子力発電子会社の破産申請をすればその時点で債務額が確定するのでしょうが、監査法人からみれば、この破産に至る経緯から、破産が確定(米国の場合は更生を前提としていますが。。)してみないと、未だ偶発的な債務が発生する可能性があるので、企業が作成した会計処理が適正である旨の意見書を付けることは自らの存続をも危うくする問題になってしまいます。


しかし、なぜこの様な原子力発電事業という無理な事業をM&Aすることになったのでしょうか。私には、こちらの方が不思議でなりません。原子力発電という、社会的な評価が決まっていないリスクの高い事業を何故、メーカーという異業種が参入したのでしょう。まだ、同業者が買収するなら理解できますが、確かに原子力発電技術については相当のノウハウがあったかと思いますが、それを利用して運用するということは、それとは異なった知見とノウハウが必要なはずです。


米国の企業を買収する訳ですから、それなりに政治的な関与もあったのでは??とも思いますが、一企業としてどうしてこの様なリスクの高いM&Aが行われるのでしょうか。
これは、特にこの大手電機メーカーに拘わらず、上場している企業は大なり小なり同じようなリスクを冒していると言えます。それは、大手企業ですので当然に合議制で物事が意思決定されて行きますが、ことM&Aに関しては社長が株価算定等実務的なことまで一人判断できる会社はありませんよね。


通常は、関係する既存事業の事業責任者が経営会議等に企業買収を諮る形でスタートします。当然にこの時点で、日本の企業特有の役員間の根回しは終わっている訳で、これに事業責任者の買収成功させたいという心理が相俟って、交渉の途中で買収価格が吊りあがったり、想定外の事業リスクが潜んでいても、交渉の途中で企業買収を諦めるとは口が裂けても当事者は言えなくなる訳です。しかしながら、M&Aとは千三つな世界でして、案件の話しが1000あっても、最終的に成約に至る案件は良くて3~5案件というのは、M&Aアドバイザーをしていた時の経験です。


私が以前所属していた化学メーカーでも、無理して高い価格で買収を行っても、買収後の暖簾償却負担で減益となってします案件を勇敢に途中で止めた事業部長が「左遷」されてしまう現実があります。これは経営トップのM&Aの難しさに対する認識が不足しているせいであると同時に、勇敢に意見する肝の据わった事業部長は残念ながら日本の企業には少ないと思います。もう一点、M&Aアドバイザーも成約しなければならないプレッシャーを上層部から懸けられますので、当然に実務責任者である事業部長に甘い言葉で囁くという課題も実は原因となっています。


先日の日経日曜日特集版で、素朴な疑問として、なぜ、日本の企業はM&Aで株価を高める様な成功に繋がらないのかという指摘がありました。これは日本の企業文化にもよりますが、1兆円をも超えるM&Aという会社をも揺るがす大きな投資をする訳ですから、もっと真摯に取り組むべきですが、組織であるが所以のジレンマがそこにはあります。
海外の企業買収に1兆円をも投下するなら、是非とも地域の新規事業創出の為に、分散投資をして頂きたいと思います。


米国式資本主義社会も良し悪しで、米国ですら優良企業は長期的な視点で業績を考えていると言われます。経営とは本質を見極め、あたり前のことをあたり前のように遂行することではないでしょうか。

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